第30話 みんなで食事

「お待たせいたしました!さぁ召し上がれ!」

出来上がった熊肉の丸焼きを食うと確かに美味かった。

しかし俺は野草やら、肉もウサギとかを取りに行くものと思っていたがな。


隣を見るとリュリュが肉を貪っている。

「よく知らんかったが、妖精とかって肉も食うもんなんだな。」

「えぇそうですよ。肉食を禁じているのはティリアを信仰している方々の

さらに上位に位置する方くらいですね。リュリュさんいかがですか?」


ハフハフ…

「あの、リュリュさん?」

モグモグ…

「リュリュさんってば。」

ガツガツガツ…

「おーい?」

ムシャムシャ…

「リュリュさ「グルルルルル…グァァァァ!!!」ヒァ!?」


「…よく知らんかったが、妖精も吠えるんだな。」

「…私も知りませんでした。」

野生動物と同じだな。



「ふ~食った食った。」

隣で小さいヤツがおっさん化してる。

「お口に合ったようなら良かったです。」

「しかし熊肉はあんなに美味いものなのか。」

「そうなんですよ~。あれ私の大好物なんです。」

臭みやらなんやらが酷くて肉料理は不味いと聞いた事があったが。


それにしても、

「お前は…いや、いい。」

「なんですか?」

「結婚する気がないんだったな。だったら言っても無駄かと思ってな。」

しかめっ面をする脳筋。


「確かに私は騎士ですし、そういう事は興味ありませんが…でもその言い方は

ちょっと何と言うか失礼じゃないですか?」

「何がだ?」

「私だって女なんですから、ちょっとは優しくしてくれてもいいじゃないですか。」

コイツ、たまに女である事を強調してくるな。

騎士らしくなりたいのか女らしくなりたいのかどっちだよ。

まぁ、

「少なくとも森の中から熊の返り血を浴びて、さらに本体を引きずりつつ出てきて

笑顔でいられる女はモテないと思うぞ。」



「おい、いい加減に立ち直れ。」

「…二人が喜ぶと思って、いや喜んではいたけど、でも…」

アレからかれこれ20分はこんな感じだ。

「あ~…悪かった。お前のおかげで美味い飯が食えたんだから感謝している。

出て来た時の衝撃はともかく、料理が上手い嫁が欲しいってヤツはいるから

そういうヤツらにはモテるんじゃないか?顔も悪くはないしな。」

我ながら棒読み加減が酷いな。


「…本当ですか?」

「実際、ガナガにはアピールされてたんだろ?」

「…アレは嫌です。」

哀れガナガ、落ち込んだ女にすら相手にされないらしいな。


「じゃあ、今度何かあったらちゃんと優しくして下さいね?」

「気が向けばな。」

「ね~、痴話ゲンカ終わった~?」

どこの誰が痴話ゲンカをしていたのか教えて欲しいんだが。


「まぁいい、相手をするのも疲れるし用も済んだろ。どっかいけ。」

「え?私も一緒に旅してあげるけど?」


イマ ナニカ キコエタヨウナ キガスルガ キノセイダロウ


「よし、片付けるか。」

「ちょっと無視しないでよ!」

コイツは何の恨みがあって付いてくる気なんだ。

「飯は食わせてやったろ、付きまとうな。」

「またお腹空いて倒れたら困るじゃん!」

知らねぇよ。


「まぁまぁ勇者殿、旅は道連れ世は情けというじゃありませんか。

しばらく一緒に旅しても問題ないかと思いますよ。」

それ日本のことわざだろ?まさか異世界人に言われるとは思わなかった。

「その言葉どこで聞いたんだ?」

「昔から伝わってることわざですよ。」

昔、こっちに来た日本人が広めたってところか。


「仕方ない、何かあったら働けよ。」

「もっちろん!このリュリュ様に任せなさい。アンタなんかより役に立つわよ♪」


じゃあ早速、役に立ってもらおうか。


「重い~…臭い~…助けて~…」


保存用の熊肉を片付けてもらおうと上から乗せただけなんだが

潰れてしまった。役に立たないな。

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