第264話: 再戦の誓い

スイの持つ固有オリジナルスキルに強制解除()と言うものがある。

魔術系の効果を解除するディスペルとは違い、スキル、技能、魔術の全ての効果を打ち消す事が出来る。

このスキルの利点は、魔力の類を一切使用せずに発動出来る事にあった。

更には、それを範囲で行使する為にスイは大きな対価を払う事を決断した。


それは己の命だ。


自らの命を犠牲にし、このスキルを発動する。


《強制解除》


全員に掛けられていたメギドの呪縛が解除される。

解除と同時に、全員が散開した。


ジラは闇霧を発動し、辺り一帯を闇色へと染める。

クロはメギドの背後に素早く移動し、メギドの首を斬り落とすべくその爪を振るう。

ユウは聖属性を付与した短剣2本をメギドの両目目掛けて投擲した。


まさに瞬きする程の一瞬の攻防。

その刹那のタイミング、確かに聞こえた。


''ありがとう…''


切断されたメギドの頭が地面へと落下する。


「終わった?」


クロ、それフラグだから・・


警戒するが、再びメギドが起き上がる事はなかった。

もしかしたら、アリシアの自我が残って最後の抵抗をしたのかもしれない。


そういえばスイの姿がどこにもいないぞ。


「スイを見なかったか?」

「いえ、呪縛が解除された時には既にいませんでした」


範囲探索エリアサーチにも反応はない。


「これは、砂か?」


最後にスイが居た場所辺りに砂の小山が出来ていた。


確か、最後にスイは何って言っていた?



''ユウ、キミとの再戦はまたの機会になりそうだね''


それはつまり、このままだと全滅する事を嘆いていたんじゃなくて、自分はここまでだと。そういう意味だったのか…


相変わらず分かりにくいんだよ!

だけど、黙っていなくなるなんて逆にスイらしいな。

それにさ、またの機会って事は、文字通りまた会えるって事なんだろ?

お前は不死の王ノーライフキングなんだしな、お前が本当は不死じゃないって知ってるのは俺だけだ。

つまり、俺がその事実を捻じ曲げ、やっぱりあいつは不死の存在だと思えばスイは本当の意味でそれこそ誰もが疑わない不死の存在となりえる。

それにスイの事たから、どうせヒョッコリと現れるんだろ?

待ってるからな。

再戦の約束を破るなよな。


ありがとう、スイ。

お前のお陰でサモナを倒す事が出来たよ。


俺は両手を合わせて目を瞑る。

その様を見たジラとクロも察したのか、見よう見まねで同じ事をしていた。

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