第十一幕『この酒場にて』

 漂う紫煙のように、匂いだけを残して消え去る。

 そこには血と硝煙の臭いが残る。まるで死神のようだと商船たちは噂する。出会えば終わりを意味する。五大海賊と並んで、恐れられる名として死弾の名はこの所急速に広まりつつあった。


「……坊主も随分やるようになって来たなぁ」


 酒場でそんな噂話を聞いていた商船船長ジェイソンはプカリと煙草の煙を吐き出した。


「『次は日出る方角の大船で会おう』か。そんじゃあ俺も帰るとしますかね」


 傾けたグラスで氷が涼しげな音を立てた。

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