第九幕『予感』
四日目の昼過ぎ。間もなく例の珊瑚諸島が見えて来ると言う頃。メーヴォさんがスンスンと鼻を鳴らせて見張り台の上から下にいる船長へ叫びました。
「火薬の焼けた匂いがします!」
何故分かったの?と問えば、何となくと言うから、この子供は間違いなくメーヴォさんなのだなと実感する。風は凪に等しく微風。
「この風で火薬の残り香があったって事は、この先に何かいるって事だな……もうほぼ二択だけどな」
「偵察なら、私の出番ですね」
ずいっと前に出て来たのはエトワール副船長。見張り台を交代すると、エトワール副船長が聞き慣れない言葉を口にしました。
「イベリーゴ!フールモサジターリオ!」
格好付けてその右腕に展開したのは、ある一件で手にした蝕の民の武器、超遠距離狙撃銃。
「セールキ(探索)」
その言葉に反応して透明な羅針盤のようなスコープが辺り一帯の索敵を行う。そこに写ったのは一隻の海軍戦艦でした。
「当たりです!距離は凡そ十マイルと言うところでしょうか。スタンピタ」
武器を元の腕輪に戻し、ふうっと息を吐いた副船長が甲板にいた船長へ声をかける。
「先制攻撃を仕掛けるなら今ですが、どうするんです?船長」
「攻撃しましょう船長!」
誰よりも先にその言葉を口にしたのはメーヴォさんだった。
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