第四幕『後始末』

「ラース。そろそろ終わりにしろ」


 ほら、と左手を引いてエリーを押し付ける。出会った頃のギラギラした目をしていたラースが、はたと我に帰ったようだった。


「……おお、ワリィなメーヴォ」


 そう言ってエリーを受け取ったラースは、もういつもの陽気な顔に戻っていた。


「見境の無くなるのを始めて見たぞ。中々愉快な事だ」

「だってよぉ、大事な大事なエリーが酷い目に会ったんだから、仕方ねぇだろ?」

「なら、後始末もしっかりしろ」

「お、そうだったな、っとぉ」


 銃声が二つ。タン、タン、とリズム良く響いて、既に血まみれだった男たちの額に穴が開いた。ゴトリ、と倒れた男たちを他所に、僕たちはカウンターに向けて金貨の入った袋を投げて酒場を後にした。


「ごっそうさん!騒がせちまった分、釣りは清掃代に回してくれ」


 ラースがそう言い残し、夜の闇の中へと姿をくらませ、宿に戻った僕たちはほろ酔いに任せて眠りに付いた。

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