第六幕『交渉』
リビングのソファに二人並んで座って、先ほどまでの経緯を説明した。金獅子の副船長をチンピラから助けた流れで、両海賊が同じお宝を狙っていると分かり、共同戦線を張る事になったと告げる。
「金獅子の旦那はあの性格だから、正面突破しか策を練る気がなくて、流石に海軍重鎮の催し物にそれはダメだろって話はしてたらしいんだ」
「あの人なら乗り込んで行ってお宝全部奪っていきそうだけどな、流石に船員が付いていけないな」
「で、前回のウチの潜入、誘導とかの作戦が見事だったからってこっちの策に乗らせてくれって話になってな」
「それ、報酬山分けじゃあ分が悪いぞ」
「大丈夫、分け前は四対六でウチが少し多めって話にしてもらった。決定済み」
メーヴォはクラーガ隊の連中が用意したお茶と軽食を食べながら、納得したのか話の続きを促した。
「当初の予定通り、レヴの用意した偽造招待状で品評会に潜入する。そこに金獅子の旦那たちが加わる。で、人選変更だ」
ゴクリと生唾を飲み下す。コレを言い出して生きて作戦決行が出来るかは、俺自身の交渉技術とメーヴォからの信頼に掛かっている。海でも空でも陸でも良いから、供物に成功を祈ろう。
「……で、だな。招待状は金獅子の旦那名義で、旦那と副船長が行く。公爵とその執事だ」
「ふぅん。で、僕らの役回りは?」
「俺が公爵旦那に買われた宝石商」
「僕はその使用人か何かか?」
「その案もあったんだがな、あの品評会は……その、社交会の場でもあってだな」
「歯切れが悪いな。取りあえず聞かせて貰わない事には判断出来ない」
ふぅっと深く息を吐いて、俺はメーヴォに向き直る。
「……お前、普段からヒール履いてるじゃん?俺らの中じゃ小柄じゃん?」
「……」
あぁー!絶対察してる!顔怖いよメーヴォさん!
「…………メーヴォは、宝石商の俺の、よ、嫁さん役を……」
ああぁーっ!怖い!今メーヴォからクワッてオーラ出た!
「……つまり、僕に女装しろと」
「待て、まてメーヴォ!話を最後まで聞け!前に話してた、赤石!馬鹿デカいルビーの塊!もしかしたらアレらしいブツが品評会の場に並ぶかも知れないって情報を金獅子から貰ってきた!そいつもこっちの取り分に入れて貰ってあるから!な、頼む!」
赤石の名を出した途端、メーヴォのオーラが変わった。殺気立ったそれではなく、興味を持ったと言うようなそれに。
「……いくつか聞くが」
「どうぞどうぞ」
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