第四幕『金獅子海賊団副船長』
「助かりました。ああ言う輩は何処に行っても付いて回るもので困ってしまいますね」
「ご無事でなによりです」
「貴方も、ブラフがお上手で」
「お気付きでしたか」
袖の中に隠していた万年筆を取り出して笑ってみせれば、アデライド氏は流石ですね、と苦笑する。
「あなた方がこの街にいると言う事は、目的はフェリペ司祭の蒼石ですか?」
「おや、そちらさんもクリストフ提督の宝石品評会に」
答えを聞かずとも、その笑顔が肯定する。
クリストフ提督はゴーンブール一帯の海域を仕切る海軍の重鎮。各界の有名どころを呼び寄せて、自らのコレクションの披露と売買を行う品評会が年に一度、今年は年明けの一週間後に行われる。そこに潜入して宝石を頂こうと計画を練っていたのだ。
「この件にヴィカーリオ海賊団が咬んでいるのは興味があります。ウチは船長がアレなので、強行突破しか策が練れそうになかったんですが……どうでしょう、今回の件で共同戦線を張ってみるのは」
指で顎を撫でながら、アデライド副船長はその奥に隠した闇を少しだけ口元に現した。
ああ、本当にこの人は美しい。
「……いいでしょう。立ち話も何だ。港の近くにコテージがあります。もしくは、そちらの船に参りましょうか?」
芝居がかった口調で、ラースがその申し出に乗った。
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