第四幕『目覚めて』
バチッと開いた瞼が火花を散らした。じったりと汗ばんだ体が重くだるい。
「やあラース、目が覚めましたか」
副船長エトワールの少し嫌みったらしい顔がコチラを覗き込んできてイラッとするが、自分の失態に言い返せないのも事実だ。
「エトワール、俺は何日寝てた?」
「三日かな。今回は少し長かったな」
「……なあ、俺また寝言でなんか言ってたか?」
この質問を投げかけた途端の副船長エトワールの顔を見たか?またお前を釣るための餌を私は確保しましたよ、とでも言いたそうなにんまり顔。
「新しい悪夢でも見たんでしょう?大丈夫、私とマルトさんくらいしか聞いてません」
私たちが交代で看てましたから、と言われてほっとする一方で、やはり己の失態を悔いた。
「メーヴォさんに随分ご執心のようで」
あぁーやっぱりか。
「今までエリーの名前しか口にしなかったのに、今回は後半からメーヴォさんを呼び続けてましたよ」
「……だろうな。で、そのメーヴォはどうした?もう起きてるか?」
「それですが、彼ってこの船に乗るまではずっと技術者であの街にいたんですよね?」
「あ?まあ、そうだろうな」
「って事は、彼はセイレーンの洗礼は初めてですよね」
「……だな。長引いてるのか?」
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