第481話
「だがあなたは間違いなくマルフスの王だ。マルフスだけじゃない」
ファバ達に一瞥をくれながら小さな壁の民は必死に訴える。
「この者達にとってもあなたはただ唯一の王、星々が選んだ我らの王だ!!」
「お前のその頑なな態度が俺達を危機に陥れる。改められぬというのなら俺はお前をこの地に置いていかざるをえない」
「そんな!! あってはいけない、そんなこと!! 王には星の導きを示す者が必要なのに!!」
「お前が心の内に何を思い何を信じようが、それはお前の自由だ。だが、お前の信じるモノを俺に強要するな。旅の仲間としてもっと自然に振舞えないのなら、お前の同行を許すことはない。たとえそれが壁の王の頼みであってもだ」
「自然……。王を王と呼ぶのは自然なことだ……」、
「俺が赦免状を手に、お前を牢より救い出した時のような威勢の良さをみせてみろ」
「そんな……、あれは知らなかったから、俺はまだ知らなかったからあんな無礼なことを……」
レグスの強硬な態度に困惑するマルフス。
それまで黙って成り行きを見守っていたカムが窮する小男に助け舟を出す。
「どうしても敬意を表したいというのなら『ご主人様』や『レグス様』なら問題ないんじゃないのか? 雇われの従者や奴隷ならそう珍しい関係でもないだろう」
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