第415話

 誰もが食い入るようにレグス達の戦いを見つめていた。

 そんな中でただ一人、小柄な男だけが天に一つの星が瞬いた事に気付く。

 星読みのマルフス。

 彼だけがその星の声を聞いていた。

「そうか……、そうだったのか……」

 星告を得て、マルフスは知る。

 己が今だ宿命のもとに生きている事を。

 星はまだ見捨ててなどいなかった事を。

 そしてこの出会いの意味を、運命の存在を。

「あの男が、あの方こそが、我らの王であったのだな!!」

 星が伝えるは暗黒の世より人々を救う者、『星々の王』の存在。

 自身の目の前でそれは猛獣の背に立ち黒き剣を振るい、古き神と戦っている。

「俺の運命は……、偽りのモノなどではなかった!!」

 マルフスは泣いていた。

 その溢れ出た涙は喜びと過去の苦しみに満ちていた。

 嘘付きだと馬鹿にされ、臆病者だと蔑まれ、気狂いだと笑われた。

 それでも、己の宿命を信じ生きた全ては無駄ではなかったのだ。

 この邂逅が他の何よりも優るその証明。

――ウボオオォォ!!

 万感の思いに打ち震える彼の目の前で炎の巨神が叫び、崩れ落ちる。

 地面に倒れ伏す古き神の姿に城内の者達が沸いた。

 レグスの一撃がついに頑強なる神の巨躯を斬り倒したのだ。


 血塗られた長き夜の戦い、その決着の時は近付いていた。

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