第388話
赤き虚空が燃え上がり、焼け落ち現れた大穴よりそれは顔を出す。
地上の者達にはそれを太陽と見紛う者もいた。それほどに巨大な炎の塊だった。
そしてのそりと、まるで大男が穴をくぐるようにして、その神は光臨する。
『福音にして災厄』、『クーナ・ティロスの炎の巨神』、『顔のない炎の巨人』。
かつて大陸に生ける者達は恐れ、様々な名でその神を呼んでいた。
彼の者の神名はイファート。
ミダンディアの炎の王国に崇められし神の一柱にして、大神ファラの子、大地の太陽の眷属たる者。
「でけぇ……」
ファバの眼前に降り立ったその神は、二十フィートルは優に超える大きさだった。
牛頭の巨人ミノタウロスすら、彼の神の前ではまるで大人と子供だ。
いったい誰がそれほど巨大な神の力に抗える。
――ウボオオォォ!!
牛の鳴き声をさらに低くしたような声が、戦場に響き渡る。
それは古き炎の神の咆哮。
そしてそこから、怒れる炎の神による一方的な殺戮劇が始まる。
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