第376話
シュドラ達枯れ森の民が今後の動きについての算段すらも立て始めていた頃、敗色濃厚な戦場を一つの集団が駆けていく。
ロブエル・ローガに仕える面々、ベルティーナ、ミルカ、グラス、トーリの四人。
彼女らは勝敗の決した戦場より急ぎ主を脱出させようと、彼のもとへと向かっていたのだ。
しかし、すでに城内はあちらこちらから侵入した魔物共がすき放題に暴れまわっている。
その魔物達を排除しながら突き進むも、ベルティーナの焦り様は傍から見ても明らかだった。
「邪魔よ!!」
加減なく放たれる炎の魔法が敵を粉砕する。
その威力は過剰と言えるもので、それを見たグラスは彼女に注意を与える。
「ベルティーナ。そんな術の使い方じゃすぐに魔力が底をつく」
「大きなお世話よ!! えらそうに他人の戦い方に注文付けるぐらいなら、あんたが私より早くこいつらを掃除しなさい!!」
いくら剣の腕が立つグラスであっても、魔術師の殲滅力には到底敵うはずもない。
無茶を言う兄妹に半ば呆れるグラス。これ以上の注意は無駄と彼は悟り、あとはベルティーナの好きにやらせる事にした。
ミルカや師であるトーリも同様らしい。
ベルティーナ自身、己の感情的な術の使い方には魔力の浪費がある事を承知していたが、それでもそんな乱暴な術の使い方をやめる気にはなれなかった。
一刻でも早く主ロブエルのもとへ辿り着く、その為には魔力の消費を惜しんでなどいられなかったのだ。
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