第375話
その命に彼の部下達は頭を垂れて返答する。
「包囲網は万全です。鼠一匹逃げ出す隙間もないかと」
「まぁ、あの男が無様に戦場から逃げ出すような真似をするとは思えないがな。だが、できれば我らの手で奴を討つのだ。愚鈍な連中には王殺しというわかりやすい成果が効く。ボルドフへの牽制と、後の新たな連合で主導権を握る布石にもなろう」
「兵達もゴルゴーラの首の重要性はよくよく承知済みのはず。最善を尽くしてくれる事でしょう」
オークやトロル、リザードマン、その他の魔物達に先んじてより多くの首級をあげる必要がダークエルフ達にはあった。
特に壁の民の王ゴルゴーラの首は格別重要なものである。
この戦いに参加している魔物達だけでなく、灰の地の蛮人達にもゴルゴーラ王の武名は轟いており、その武名高き王を討ったとなれば、誰もが枯れ森のエルフ達に対して一目置く事になるだろう。
そしてそれは連合という組織の中において、他の者達に対しての大きな優位性となる事は間違いない。
枯れ森のエルフ達にとってここからの戦いは戦争ではなく競争だった。
より多くの成果を挙げる為、壁の民の王の首を取る為の競争。
彼らの中に、この戦いでの勝利を疑う者など、一人として居はしなかった。
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