第366話
ずっと己を追いつづけた怪物。
その正体をレグスはもう察している。
逃げる必要などなかった。
闇の中より現れるや否や吼え猛る怪物に彼は言う。
「そう妬くな獣。古い顔見知りと少し会っていただけだ」
そうして荒ぶる怪物に対してまったく恐れなく自ら近付いていくと、レグスは己を喰らいたがるそれを前にして、言い放つ。
「そんなに俺を喰らいたいなら味見ぐらいはさせてやる。だがその代わり、もっと力を寄越しやがれ、魂喰らいの獣」
レグスが持つ黒き魔剣『
それが怪物の正体だった。
怪物はただ遠慮なくレグスを呑み込み、するどい牙で噛みしだく。
死にはしない。いいや決して死ねはしない。
全身を刻まれ、磨り潰される激痛がレグスを襲い続ける。
その痛みこそが魂もが削られていく証だった。
そしてその痛みこそが、彼の意識を死の淵より肉ある現実の世界へと引き戻すのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます