第364話
ラグナレクの考えは見え透いている。
封印を完全に解けば、そのまま魔人の器としてレグスを利用しようとしているのだ。
「黙れ。貴様の誑かしに興味はない」
「では、このまま死を選ぶか」
「俺が死ぬのは貴様を葬ってからだラグナレク」
迷いない言葉だった。
死の淵に立ってなお、レグスは本気でそれを為す事を望んでいたのだ。
「弁えよ。たとえ器子とて、人の身にある者の際限はいと小さきモノなり。蟻一匹がどれだけ足掻いてみせたところで、山一つ動かす事かなわぬ。我が力を受け入れよ、でなければお前はこのまま死にゆくのみぞ」
淡々と上から物を言うラグナレクの口調は、レグスにとってこの上なく癪に障るものだった。
人の身にある男は小刻みに笑う。
愉快だからではない。
怒りからレグスは笑い、激するのだ。
「たかが石ころの分際で、まったく大層な言い様だなラグナレク!! いいぜ、そうやって超越者ってやつをせいぜい気取ってるがいい。だけど覚えておけ……」
怒りで血を煮えたぎらせながらレグスは断言する。
「俺はお前を必ず殺す。天地万遍の世より、塵一つ残らぬよう貴様を消し去ってくれる!!」
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