第354話
「放てぇ!!」
城外に打って出る突撃隊の援護をしようと、行く手を遮る魔物共に城内から大弓の矢の雨が浴びせられる。
そしてその攻撃を受けて体勢を崩した敵に対して、すかさず獅子馬に跨る大男達の身命惜しまぬ突撃が直撃、魔物共を蹴散らしていく。
わずか五十騎にも満たぬ突撃隊だったが、その突破力は凄まじかった。
奥へ奥へ、不浄の王のもとへと一目散に向かう決死隊。
大剣を振るいながら魔物の大軍を割り進む彼らを不思議な風が導いていた。
それは精霊セセリナの術が呼んだ風。
そしてその風の導きがあったからこそ、敵の大軍の内にあってレグス達はリッチのもとへと迷いなく突き進めたのである。
敵も激しい抵抗をみせた。
地上に展開するオークやトロル、リザードマンなどの魔物達はもちろんの事、空からもハーピーだけでなく、結界にまごついていた悪霊達も外に飛び出してきた彼らに対して容赦なく襲いかかってきたのだ。
「止まるな!! 進め、進め!!」
「くそっ!! ゾゾがやられた!!」
「こいつらは俺が引き受ける!! お前らは先へいけ!!」
魔物達の反撃によって次々と脱落していく獅子馬に跨る勇者達。
決死隊は一人、また一人と次第にその数を減らしていく。
それでも彼らは止まることなく突き進んだ。
血を浴び、血を浴びせながら、ひたすらに進み続けた。
そしてたった一人の男を除き全ての決死隊が討ち死にし、彼の乗る獅子馬すらも力尽きた頃、ようやくそれは姿を見せた。
苦痛と絶望の皇帝アングスタの眷属、悪霊を従える不浄の王リッチ。禍々しき瘴気を纏うその不死者がレグスの前に立っていた。
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