第353話
惨憺たる激戦の中で指揮するガァガはレグスとの会談に快く応じ、彼の話に耳を傾けた。
そして厳しい戦況にも関わらず彼はレグスの言に従い、比較的軽傷でまだ動ける重兵団の勇者達を貸し与えてくれたのだ。
その数は五十にも満たない。
しかしそれが現状で彼らが割ける最大の戦力でもあった。
それほどにこの戦いは凄惨を極めていた。
ガァガの指示によって、獰猛な獅子馬に騎乗する勇者達がレグスのもとへと集められる。
そうして集った大男達に対してレグスは、自分達が城外のリッチを討つ為の決死隊である事をあらためて説明し、その協力を仰いだ。
誰も異論を唱えたり、渋るような様子を見せる事はない。
それどころか大男の一人は手にした大剣を天に掲げ叫んだ。
「異国の勇者よ、感謝しよう!! 我らにこれほど名誉ある戦いの機会を与えてくれた事を!! 約束しよう!! 我らは必ず、お前を忌まわしき不浄の王のもとへと送りとどけてみせる!!」
その言葉に他の大男達もたった一言の掛け声にて賛同する。
「オウ!!」
もはや彼らに、決闘裁判にて闘士ブノーブを討った異人に対するわだかまりなど一切ありはしなかった。
むしろわだかまりどころか、敬愛の念すらも彼らはレグスに対して感じていた。
そこに至るに必要だったのは言葉ではない。
この戦いでのレグスの目覚ましき活躍、それ自体が幾百の言葉よりも優っていたからだ。
多くの死闘を潜り抜け、非凡なる武才を誇る大男達さえも認めていた、悪霊達を司る不浄の王を討てるのはレグスの他にいないと、自分達はその為の捨て石になっても構わないのだと。
そして、覚悟を決めた勇者達に守られながらレグスは与えられた獅子馬に騎乗して決死行となる突撃を敢行した。
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