第342話
間者の悪魔共をあぶり出した功績で壁の民達の信頼を得たレグス達は、戦いの前にこの城に備え付けられた防衛機能についても知らされていた。
主塔の弩砲の事はもちろんとして、その他にもいろいろと教えられており、その中に城の地下の魔法陣についての情報もあった。
それは巨大な結界をつくりだす為の魔法陣であったのだが、機能しなくなってから随分と久しいようで傷みや劣化が激しく、とても使い物になるような状態ではなかった。
また、非常に高度で複雑な魔法陣であり、おいそれと修復して使えるようなものでもなく、この戦いでの利用を完全に諦めていたのだ。
だがしかし、状況が状況だけにそうも言っていられなくなった。
「出来るのか?」
問い掛けるレグスにセセリナは一瞬言葉を詰まらせる。
魔法陣は強力ではあるが繊細な物だ。
修復に失敗した状態で利用すれば、力が発動しないだけならまだマシで、下手をすれば暴走を招き、術の力が強力であればあるほど、大きな破滅をもたらす事になりかねない。
「……わからない。でもそれをやってみるしか」
不安を入り混じらせたセセリナの言葉にレグスは言う。
「わかった。出来るだけ時間は稼いでやる」
彼とて地下の魔法陣を利用するその危険性に気付いていないわけではない。
それでも、男は古き精霊を信じる事を選ぶ。
「頼んだぜ、セセリナ!!」
「困難に挑む時には小さな迷いも捨てるべきだ。セセリナ、私もお前を信じよう」
ファバやカムも同様に仲間の精霊の力を信じていた。
「ったくもう、私を誰だと思ってんのよ。スティアのセセリナよ。だてに千年、二千年、軽く生きちゃいないってのよ!! 任せてもらおうじゃないの!!」
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