第313話

 枯れ森のエルフの長が煉撰隊の全滅に落胆し、黒い剣の使い手の出現に憤る頃、その当人たるレグスは、ダークエルフ達に続き乗り込んできた魔物共を掃討せんと敵軍の群れの中へ単身斬り込んでいた。

 その暴れ様たるや、どちらが人で、どちらが化け物かわからぬほど。

 黒い剣の乱舞はオークやリザードマンをいとも簡単に蹴散らし続ける。

 彼に続くようにして壁の民達も奮闘して見せるが、やはりこの場に異様に目立つのはレグスの活躍であった。

 それを少し遠目から眺める老魔術師トーリ。彼は乗り込んできた敵を追い払う援護をしようと他の場所からわざわざ駆けつけたのだが、到着した時にはすでにこの場の戦況は決まってしまっていた。

 乗り込んできた魔物共をどんどん押し込む防衛側の兵達。

 老魔術師の助けがなくとも、このまま敵を城外へと追いやれるだろう。

 それほどに防衛側の勢いは凄まじい。

 その原動力となっているのは異様の黒き剣使いの活躍に違いない。

 いったい何故彼はそれほどに強いのか……。

「まさかあれは……」

 様々な知識をもつ老魔術師は人外の剣捌きを見せる男の戦いっぷりと、彼の体と剣より発せられる邪気を感じ取りながら、その正体に気付く。

「『ケルサスケントゥリア』、『百魂の剣』か!!」

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