第305話

「ディオン!!」

 助けに入った仲間に多少なりとも安堵するガドー。

 しかし助太刀が来たとはいっても、情勢は好転しそうにない。

 険しい顔でディオンが言う。

「ガドー、こいつはちょっと分が悪そうだぞ……」

 彼の言葉にガドーが周囲に視線を向ければ、そこには同じくダークエルフを相手に苦戦するシドやグラス達の姿が見えた。

 シドもグラスもディオンも、ガドーと比べれば一段上と言ってよいほどの剣の使い手である。

 そんな彼らを以ってしても、分が悪いというのなら、ガドーから見ればこのダークエルフ達は二段も三段も上となるのか……。

 相手になるはずがない。

 思わぬ強敵の出現に、どうしたものかとダークエルフと距離を取り、睨みつけるディオンとガドー。

 表情を曇らせる二人の男とは対照的に、相手のエルフはいつでも殺せると言わんばかりの表情を見せていた。

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