第301話

「なんたる無様!! 秘術を用いてまでした結果がこの様か!!」

 城攻めに用意した投石機を全て失った枯れ森のエルフの長は激昂していた。

 投石機を守る為に、わざわざ前線から魔術師達をさげて魔法障壁まで張らしたというのに、たかが鷹の一匹にその全てを台無しにされるとは……。

「ええい、忌々しい!!」

 シュドゥラは口惜し気に声を荒げると、近くにいた同胞を呼びつけ命じる。

「ケルドラ達を呼べ」

 その命令に同胞たるダークエルフは意外そうに驚く。

「ケルドラ様をですか!?」

「こうなっては仕方があるまい。『煉撰隊れんせんたい』にも一仕事してもらう。奴らに突破口を開かせるのだ!!」

『煉撰隊』は枯れ森のエルフ達の中でも選りすぐりの腕利きを集めた精鋭部隊であった。

 決まった定員数はないものの、常に多くても十に満たぬ数で構成された少数精鋭であり、隊を率いるケルドラを始めとしてメンバーの誰もが秀でた剣術と弓術を身につけている。

 そして彼らは、魔術のほうも一流の魔術師と比べれば劣るものの、人間社会に住み着いた凡百の魔術師達に比べれば、よほど優れたる才と知識を有した魔法戦士達でもあった。

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