第278話『抗う者と背負う者』
聖水の試しを終えたレグスの足が次に向かった先、そこはファバ達の待つ部屋などではなく、城に備え付けられた牢屋であった。
普段は使用される事のないこの牢には、彼が決闘裁判を起こしてでも助け出そうとした自称星読みの男マルフスが隔離されていたのだ。
扉を開き、牢の内に足を踏み入れたレグスを鎖に繋がれた小男が見やる。
「どうしてお前が……、生きていたのか……、それともついに迎えが来たか。へへっ」
憔悴した表情にて笑うマルフス、だいぶ気をやられているらしかった。
「何を勘違いしているか知らないが、この通り私は生きている。……釈放だマルフス。王の許しも得た」
レグスが広げ見せた羊皮紙にはマルフスが釈放される旨の文が書かれ、王の署名がしっかりと記されている。紛うことなき赦免状である。
言葉を失い、目を見開くマルフスにレグスは言う。
「驚く事ではないだろう。私は正当な裁判で勝利したのだ。そのうえ状況も変わった」
一連の騒動で王の信頼を既に得ていたレグスにとって、マルフスの解放を再び願い出て、それを認めさす事などそう難しい事ではなかった。
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