第150話

 魔法の炎に焼かれ異臭を放つ物体、それの始末をするガドー、レグスとファバ、ディオンにツァニス。

 死体を片付けるといっても信心深くもない上に、善人でもない彼らは墓を作るどころか埋めてやるような事もせず、街道の脇に雑に置き捨てるだけ。

 あとは通る誰かがどうにかしてくれるだろうといったいい加減さであった。

 その終わり、ベルティーナの虐殺の最中去っていた鷹が再び彼らの頭上に現れ、さらには馬に乗った女が街道の先より姿を見せた。

 女は弓を手に馬で駆けながらレグス達に向かって叫ぶ。

「大丈夫か!!」

 盗賊に襲われていたレグス達を心配して言っているのだろうが、状況が状況なだけに返す言葉も見当たらず、レグス達は互いの顔を見合わせるしかない。

「ライセンがここで盗賊共に襲われていると!!」

 傍らで馬を止めた女。年は二十そこそこに見え、人種は東黄系のようだが、彼女の身につけた独特な衣服は強く目を惹いた。きめ細かい刺繍が施され美しい模様を作り上げている。砂埃を浴びて脚の方の部分は汚れが目立つがそれでも、売ればいい値が付くだろう。

「ライセン?」

「私の鷹だ。賢い奴でな、彼が知らせてくれたのだ。そんなことより奴らは!?」

 ガドーは無言で移動させたばかりの黒こげ死体を指差す。

「あれが!? お前達がやったのか、結構な数の盗賊だったはずだが」

「俺達というか、俺達のボスがな」

「ボス?」

「腕のいい魔術師でな。そこらのごろつきじゃ百や二百束になっても相手にならん。まっ、この結果をみりゃわかるだろう」

 ガドーの口調はどこか自慢げだ。

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