第147話

 より下品な口調で話す盗賊に、ガドーは話にならないと首を振る。

「交渉決裂だ野郎共!! 馬と荷はなるべく傷つけるな、それと女は必ず生け捕りにしろ!! お前達にも後で抱かせてやるぞ、特上の女をな!!」

 頭領が部下達に攻撃命令をだし、襲いかかろうとしようとした瞬間だった。

 何かが頭上で鳴いた。

 その鳴き声に、盗賊達は激しく動揺し、空を見る。

 鷹だ、鷹が鳴きながら空を旋回している。

「ちっ、しつこい奴だ!! 運がよかったな、お前達。……残念だぜ嬢ちゃん達、せっかく俺らがたっぷりとかわいがってやろうと思ったのによ!!」

 そう言って下品に笑うと、頭領は攻撃を開始するどころか、手下もろともどこかへ逃げようとする。

 逃げようとしたのだが……。

「ぎゃああ!!」

「ぐわああ!!」

 退路に巨大な火の球が飛び、何人もの盗賊を巻き込みながら爆発した。

 そして突然の攻撃に驚き足を止めた盗賊達、彼らに向かって追い討ちの火の矢が無数に飛び、突き刺さる。

「ひいいい!!」

「助けて!!」

「熱い!! 死ぬううう!!」

 五十人近くはいたであろう盗賊達はベルティーナ、彼女たった一人の魔法で次々と消し炭にされていく。

「てめぇ……、魔術師だったのか……」

 顔を蒼白にした盗賊の頭領に対して、ベルティーナは紫の瞳を邪悪に光らせ言う。

「生きていられると思ったの? 薄汚い屑の分際で、私達を侮辱するような真似をしておいて」

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