第142話
ルルの声は震えていた。目には涙すら浮かべている。
「お前達と一緒にするな……。俺の体であんな大軍どうしようもない」
「体格のせいにするな臆病者!! 子供とて弓を手に戦っているぞ!!」
「こんなの俺の戦いじゃない……」
「お前の戦いだと? 笑わせるなよ、腰が引けて弓矢も満足に射れぬ半端者が、夜空を眺めるだけで見張りすらろくにこなせぬ屑野郎に、いったいどんな戦いがあるってんだ!!」
「星々がそう言ったんだ!! 俺の戦いじゃないって、あんた達には星が見えないからわからないんだ!!」
「星が言っただと!! まだそんな戯れ言をぬかすかマルフス!!」
「戯れ言じゃない。あんたらには星が見えない。星が読めない。だから俺の言葉が信じられないだけだ」
「何が星読みのマルフスだ。お前の言う星の声、その予言がいつ当たった。何が当たった。いつも曖昧でそれらしい御託を並べて、本当に星が見えると言うならゴブリンの星明りの魔術も見抜けたはずだ!! トカゲ野郎共の接近に気付けたはずだろうが!!」
「俺が見張り番の時には奴らはまだ壁を登っていなかったんだ、俺は悪くない!! それにこんな戦い無意味だって俺は言ってたのに……、お前達は聞きはしなかった。だからこんな事になる!!」
「何だと……」
壁の民の戦いそのものを侮辱する言葉にルルは激怒する。
「いつもはイカれ野郎の戯れ言だと聞き流してやってたが……許せねえ。汚らわしいマルフス、殺してやるぞ!!」
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