第122話


「そんな事よりも、お前達に聞きたい事がある。あの四人の事についてだ」

 レグスがそう切り出すと、ガドーはあからさまに警戒心を高める。

「悪いが、ボス達について喋れる事なんて一つもないぜ」

「兄弟にもか?」

 含みを持たせた笑みを浮かべるレグスに、ガドーは呆れたような口調となりながら言った。

「てめぇ、都合いい事を言いやがって。それがお前なりの人付き合いの仕方ってわけか」

「そんなところだ」

「……ったくよう、特別酒の席で酔って出た言葉だ、俺は明日には忘れてるぜ」

「ああ」

「何が聞きたい。先に言っとくがたいした事は俺達も知らねぇぞ」

 ロブエルのもとで働くようになってからガドーは約四年、ディオンとツァニスは一年ほどしか経っていない。

 レグスが接触した人物で、グラス達について深い部分まで知っているのは本人達を除けば、恐らくシドという男のみ。だが、口の固そうな老兵からそういった情報を得るのは困難な事だろう。

「あの四人、ロブエル・ローガに対して随分と温度差があるように感じたが、ロブエルとはどういった関係にある?」

 ツァニスの暴言に殺意を剥き出しに激高してみせたベルティーナ、静かで落ち着いてはいるが悲しそうな表情だったミルカ、呆れたような表情をしていたグラス、そして最後の男、自己紹介の場でギルと名乗った男は、全く持って興味を抱いていない様子だった。

 容姿は似れど、態度は大きく異なった四人。その差はどこから生まれてきたものなのか。

「ロブエルの旦那にとってボス達は自分の子供みたいなもんさ」

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