第109話
「二人とも講義はその辺にしておけ。それよりセセリナ、お前はあいつらをどう思う」
レグスが助け舟を兼ねて話題を引き戻す。
「どうって……、人間にしては珍しい能力を持った面白い子達だとしか言いようがないと思うけど」
「それだけか?」
「何が聞きたいわけよ。はっきりと言いなさいな」
「俺は、いや、俺もファバも、奴らには嫌な印象を抱いている。精霊のお前はそういったものに敏感だと思うが?」
「そうは言われてもね。正直、特別禍々しい何かなんてモノは全く感じられなかったわよ。……うぅん、そうねぇ、人間の魂には穢れが付き物だし、それがあの子達の霊力に当てられて嫌な感じがした理由かもね」
「穢れか……」
「霊力は魂に宿る力。当然、強く影響を受けるし、与える。悪霊と戦ってるんだしわかるでしょ、穢れた霊力に触れた時に感じるあの嫌な感じは」
「なるほど確かに覚えはある」
「悪霊は極端にしても人の魂、そして霊力にも穢れはあるわ。それを受けて嫌な感じがするのは当然と言えば当然。人間が精霊達から嫌われやすい理由の一つでもあるわね。あなたの言う通り、私達みたいな霊体で生活している者は、穢れには敏感だもの」
「お前は平気なのか」
「慣れたわ」
「慣れるものなのか」
「セセリナさんほどの立派な精霊になると清濁併せ呑むぐらいの器量が生まれてくるのよ」
自画自賛するセセリナ。
「で、結局どうすんだよ」
彼らの行動、その最終的な決定権はレグスにある。
ファバは彼の答えを待った。
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