第107話『相談』
街外れの片隅、人気がない場所で腰を下ろすと少年は言う。
「どうすんだよ。このまま参加する気みたいだけどよぉ、他を当たった方がいいんじゃねぇか?」
ファバの口から飛び出してきたのはローガ開拓団に参加する事を躊躇っているかのような台詞だった。
「何故だ」
「何故って……、勘だよ勘。兄妹かなにか知らないけど、あの二人、あれはやばい予感しかしねぇ」
「勘か……」
まだ考え事をしているのだろう。手を顎に当ててレグスは宙を見つめている。
「ああ、勘だよ勘。レグスはあいつらを見て何も感じないのかよ」
「いや、お前と同じように俺も奴らを見て嫌な感覚はあった」
「ならやめとこうぜ。開拓団っても他にもあるんだろ」
「無理にここに決める必要もないのは確かだが……、セセリナ、お前は何か感じたか? あの二人を見て」
レグスの呼びかけに反応にして彼の指輪が青白い光りをわずかに放つと、そこから粒子が飛び出し、それは小さな少女へと変貌する。
「面白い子達だったわね」
セセリナは開口一番に呑気そうな調子でそう言い、さらに言葉を続けた。
「二人とも人間にしては珍しく強い霊力を感じたわ。特に女の子の方は一時的にすごく強まってたわね」
「魔力ではなく、霊力か」
レグスはなにやら納得がいったようだった。
「なによ気づかなかったの? 魔力とは全然違うでしょ」
「悪霊やお前の霊力ならよく知っているが、人間があれほど強い霊力を出せるものなのか?」
「普通は肉体が邪魔になって、霊力を操るなんて無理なはずなんだけど。まれにいるみたいなのよね、ああいう子達も。たぶん意図的というより無意識に……、訓練で身に付けたようなものでなく、先天的なものでしょうね、あれは」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます