第19話アパートのおばさんと俺

俺は目黒怨。

種族は悪魔で職業は殺し屋。

怨みのある奴俺が代わりに晴らしてやろう。

金は一銭もいらんが、代わりに怨みをいただくぜ。


「どうすればいいだろうか」

俺は腕組をして唸る。

近頃俺の住んでいるアパートの近隣住民から、俺の無職疑惑が発生し始めている。

悪魔である俺にとっては不名誉この上ない話だ。

なんとしてもこの疑惑を晴らさねば……

あれこれ考えたがこれという名案がなかなか浮かんでこない。

このままではこの俺に無職という烙印が押されてしまうことになり、結果として悪魔である誇りを自分で傷つけてしまう。それだけは何としても避けなければならない。夜中まで考えると、夜型なだけあって昼間に比べて頭が次第に冴えてきた。

ここで俺は、素晴らしい名案を思い付いたのだ。

翌日、アパートを清掃しているおばさんに出くわした。

「目黒さん、お仕事見つかった?」

この問いを俺は待っていた。俺はできる限り優しい顔で微笑み、こう返した。

「実は俺、学生なんですよ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る