第3話 結成

【悲報】オパパ、宇宙に散るwwwwwwwwwww【VF】

1:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:35: ID:SXXXX

 ンゴった模様


2:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:36: ID:XXXXX

 ざっこwwwwwwwwwwww


3:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:36: ID:XXXXX

 嘘乙


4:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:37: ID:XXXXX

 ソース出せks


5:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:37: ID:XXXXX

 オパパってあのアンドロメダ幹部のか?


6:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:37: ID:SXXXX

 スクショ 

 ttp://imgur/XXX1

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7:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:38: ID:XXXXX

 マジやんwwwww


8:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:38: ID:XXXXX

 オパパさんがそこらの雑魚に負けるわけないだろ

 シングルランキング戦での最高順位は33位だぞ

 同じアンドロメダ幹部のデクの棒さんとかくらいだろ勝てるのなんて


9:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:38: ID:XXXXX

 つーか幹部とかいんのかよ


10:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:38: ID:XXXXX

 あいつしゃしゃってウザかったからざまぁ


11:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:39: ID:XXXXX

 ケンカ売った奴氏んだな


12:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:39: ID:XXXXX

 >>6 めっちゃ荒い画像だな

 つかこれに映ってる赤い機体なんのフレームなんだ?


13:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:39: ID:XXXXX

 >>6 マジでオパパ消し飛んでて草生えるわ


14:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:39: ID:XXXXX

 >>12 横にいる多分にしてプレアデスから見てEO製の機体じゃね


15:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:40: ID:XXXXX

 >>12 ランキング上位入賞者とかに送られる機体の内の一機だろ

 開示されてない機体結構あるし


16:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:40: ID:XXXXX

 確かにそれっぽいな

 攻略サイトとかで見たことないわ


17:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:40: ID:XXXXX

 おっぱぱっぱっぱっぱw


18:名無しさん@転載禁止:20XX/04/XX(月) 22:40: ID:XXXXX

 画像荒いしどうせコラだろ


◇◆◇◆◇◆◇◆


「ありがとうございました!」


「どういたしまして」


 あの戦いの後、ハンガーに機体を置いてからゲーム内のマイルームにてアオイともう一度話すこととなった。

 あの後、結局何事もなく最寄りの母艦に帰投することができたのだ。

 マイルームは様々な小物などを置けるのだが、オレが置いてあるのは初期からある机とソファとターミナルと呼ばれるパソコンのような機器だけである。ターミナルからは様々なアイテムの購入などができるため便利なのだ。


「やっぱりシュンくんは強かったです。11人相手に勝ってしまうなんて」

 

「あれは場所が良かったんだ。デブリ帯だったから人数がうまく活かしきれてなかった。それにオレ一人じゃ最後はやられてたかもしれない。あの援護は的確だったよ」


 いや、頭部を破壊されたとき、確実にオレはやつにトドメを指されていたに違いない。

 実際オパパの指揮は良かったが、指揮される側の人の操縦技術が追いついていなかったし、デブリという障害物により数の利をかなり抑え込めていた。そして何より 最後の最後に一度だけ油断をしたとき、アオイの狙撃がなかったらオレはあの場で撃墜されていた可能性が高い。

 アオイの援護能力、状況把握能力はズバ抜けている。単機での戦闘を主眼としているオレとは違い、広い目線を持っているためオレにはなくてはないらない僚機りょうきだ。


「あのオパパって人はシングルランク戦でも高い位置にいるんです。私の狙撃の腕が

気に入ったからって何度も勧誘されたんです」


 そういえば嫌がらせがどうして行われているかは聞いていなかった。というかそんなに高いランキングにいる相手だったのか。オレより上の人は今度調べておこう。

 しかし、なるほど勧誘か。あの狙撃の腕ならば味方に欲しいだろう。それほどに正確な射撃だった。


「アオイさんの狙撃は相当高レベルだと思う。オレとオパパが交戦した時に狙いが外れることがなかったし」


 オレの《アルタイル》とオパパの《アンタレス》が鍔迫り合いをしているところに、撃つ勇気とその正確性は、目を見張るものがあったのは確実だ。オレならば味方に当たってしまう自身があるほどに難しいことだ。

 ちなみにオパパの機体のフレーム名が分かったのは撃墜したからだ。基本的に撃墜した機体のデータは一部取得できるので、オパパの機体の概要は把握できていた。


「ありがとうございます。狙撃には自信がありますから!」


 胸を張って誇らしげにおどけて見せるアオイはとても微笑ましかった。学校での印象とは全く違う一面が見れたのは、彼女だけでなくオレもだったわけだ。


「あぁ、オレが保証するよ」


 そう言って自然と笑みが出た。短い時間一緒に居ただけだがとても有意義な時間が送れたのではないだろうか。


「シュンくんのお墨付きが貰えるとは光栄です……あ、すみません今日はそろそろ落ちますね」


 時間を確認するとすでに時刻は23時を回っていた。


「……分かった。お疲れ様――――」


 そう言ってオレは手を上げる。

 また一緒にやろう、という言葉は飲み込んだ。彼女は学校の人にはこのことを秘密にしている。これからも一緒にやっていくうちに、オレが何かしらのボロを出さないとも限らない。後ろ髪を引かれまくっているがしょうがない。知り合いにランクアップしただけでも良しとしよう。


「……お疲れ様」


 アオイは一度礼をしてからログアウトした。荒いポリゴンが崩れるように彼女のアバターが消えていくのを最後まで見届けた後、オレはハンガーに歩を進めた。


「…………」


 頭部が損壊し、所々塗装が落ち、ただれた装甲がになった愛機である《アルタイル》を見た。

 先の戦いを思い出す。

 オパパは確実に上位の腕前だった。

 油断してしまった落ち度がこちらにあるにせよ、次に一対一で戦ったらどうなるだろうか。そんな益体もないことを考えてしまう。


 このオパパとの戦闘がオレを宇宙海賊アンドロメダと深く関わっていくきっかけになるとは、この時のオレは思いもしなかった。


 翌日。何事もなくオレは学校に登校する。オパパがアンドロメダの幹部であるあってシングルランキング戦過去最高33位であっても、オレは特に興奮することはなかった。

 あの戦いは勝つべくして勝ったのだ。

 そこには最後に油断はあった反省点も多々あったが勝ったのだ。

 負けたら意味がない。

 朝のショートホームルームが始まるまでは暇なので、スマフォの画面を付けようとしたとき能天気な声が鼓膜を揺さぶった。


「しゅ~ん」


「どうしたそんなアホみたいな声出して」


 大和はオレの席の前の席に我が物顔で座る。その席主がいないので特にいうことはないが。


「……お前、オパパを倒したんだってな」


 逡巡の後、若干小声になり口元に手を添えて大和は口を開いた。


「……なんで知ってんだ?」


 あの場に居合わせたのはオレと葉月、そしてオパパとその配下の10名だ。

 オパパ側が態々負けた戦歴を言うはずもない。結局オパパからのメッセージの一つもなかったのだからちょっと拍子抜けではあったのだが……。

 葉月だってそんなことを漏らす性格だとは思えない。勿論オレは漏らしていない。


「マジだったのかよ……」


 どうやらカマをかけられたらしい。至らぬ頭を持っている大和にしてはやる。


「……」


「いやな、掲示板で話題になってるんだ。アンドロメダ幹部であり、シングルランキング戦最上位プレイヤーであるオパパが見知らぬ機体に負けたって」


 オレの無言と表情を見て大和は完全に理解したらしい。


「誰かがオレたちの戦いを盗み見てたのか」


 だがアオイの機体の索敵範囲よりも遠くから見ていたはずだ。


「そらオパパほどの有名人となりゃ、直接ちょっかいはかけないだろうがつけて弱みでも握ろうって奴がいるんじゃないか?」


 アンドロメダ幹部と言うネームバリューはVFをやっている者にとっては相当大きい。オパパの性格からして様々な場所で迷惑がられていたのかもしれない。

 ほら、と言って大和は画面を見せるとかなり荒い画像ではあるが、確かにオレの赤に塗装された《アルタイル》と葉月の白い《プレアデス》が移っている画像。《アルタイル》が片足の《アンタレス》に対してビームを放つ画像。《アンタレス》が爆散する画像の三つがあった。


「確かにオレだわ」


 しかも丁寧に場所と時刻まで記されている。


「VFの総合掲示板に昨日の夜上げられた画像だ。まぁこの画像の荒さとかでオパパの名前を落とすためのコラだって言ってる人がほとんどだったな」


 大和自身も今の今までコラ画像だと思っていたという表情だ。


「しかしよくオレだとわかったな。腰の武装とか昨日追加下ばっかだぞ」


「まぁお前の機体の配色もしってるし、何よりからな。一個武装が増えたとしてもそんなに見た目は変わんないだろ」


 確かにオレの機体はVFでよく見かける機体よりも。基本的にVFでプレイヤーが機体をアセンブルするとき、積めるだけ武装を積め込むことが多い。積載量はジェネレータやフレームに依存する。

 アオイの《プレアデス》はあれでいて中々武装や追加兵装が少ない方なのだ。取りあえず積めるだけ積んどけという姿勢の人が多く、機動性が損なわれたりすることが多々ある。

 ランキング上位になるにつれ武装の数は減っていき、自分に最もあった戦い方で武装だけを選別しているのだ。中には例外もいるが……。


「まぁよく見てるからこそってことか……おい――」


 大和はオレの言いたいことが分かったのか、先に口を開いた。


「分かってるって、お前の機体のことは言わないさ」


「――わかってるならいい」


 ホッと胸をなで下ろす。こんなことが分かって普段あまり喋らない学校の人に話しかけられても困る。自意識過剰かもしれないが、それでも面倒なことにならないに越したことはない。クラスのやつらには一応VFをやっていることは知られているが中々話はしないのだ。


「ところで、この機体は誰だ?」


 ここまでは前振りだと言わんばかりだ。顔に明確な悪意がある。

 しかも、なんだとかではなく誰だってのはどういうことだ。


「《プレアデス」だぞ」


 そろそろチャイムが鳴るため煙に撒く体制に入る。


「怪しいな」


 珍しく大和は鋭いことを言う。いつもならなるほどなどと言って意味不明な納得をするところなのだが……。いつも怪しいと適当なことを口にするので放っておく。

 と、ここでチャイムが鳴る。


「……ほら自分の席に戻れ」


 オレがそう言うと大和は何か言いたそうな顔で自身の席に戻っていった。


 事件が起きたのは昼休みだ。

 そうこれはオレにとっての重大な事件である。もっと言うと学校の男子にとっての重大な事件が勃発した。


「そういえば朝の最後になんか言いたそうだったな」


 昼飯の弁当を食べながら大和と話をする。朝最後に見た顔が無性に気になったオレは試しに聞いてみた。


「……お前、葉月さんと何してた?」


 小さめの声だったが、それははっきりと聞こえた。オレの胸中は瞬間的に大荒れ状態になった。表情に出てはいないと思うが、動かしていた箸は完全に停止した。そこにオレのかつてない動揺が現れていた。


「ァ、葉月さん?」


 アオイと言いかけて寸でのところで留まる。自らボロを出すところだった。しかし、いつになく真剣な表情をした大和を見るとまた変な言葉をこぼしそうだ。

 心なしかクラス中の男子の目線が向いていないのにこちらに向いている気がした。それほどまでにいつも騒がしくしているクラスの男子が喋っていない。いや、これはオレの幻覚なのかもしれない。今現在オレの中で巻き起こる動揺が誇張的に静かに感じさせているだけかもしれない。

 目線はこちらに向けられていないが、オレ達の会話を一言一句聞き逃さないつもりなのだろうか。


「お前は知らないようだから言うが、この学校の生徒内で昨日の夜からある噂が立ってるんだ」


 噂とは何だろうか、昨日の夜と言うことはオパパが倒されたことだろうか?


 いや、それなら学校の生徒内だけの噂ではないし、そもそもそれは今朝こいつから聞いている。つまり十中八九、九分九厘、確実に昨日の放課後のことについてである。


「なんだ……それ?」


 見当はついた。葉月関連で漏れる可能性のあるものなどこれ以外にない。


「昨日の放課後、駅でお前と葉月さんがお茶してるところを見たっていう噂だ」


 予想は裏切られることなく的中した。この学校の生徒も利用する駅であるからに、そのような現場を目撃されることは疑う余地もない。


「あぁ」


 オレは噂だと言いつつも確信をもって話す大和に、肯定と同意義の返答をしてしまった。


「この、ばかやっろおおお!!」


 拳を握りしめ勢いよく大和が立ち上がった。その勢いのよさに少々驚いた。


「落ち着けよ!」


 ここに来てオレの中の動揺は消えた。いや、開き直ったのだ。明るみに出たものはもう元の暗所には戻れないし戻せない。


「どうして、どうしてなんだ!?」


「風見いいいいいい!!」


「お茶とか羨まし過ぎだろ!」


「何をしていたんだ、吐け!!」


「おれはお前を信じていたんだぞ!!?」


 いつの間にかクラスの男子の大多数がオレたちを、オレを取り囲んでいた。立っていないものはうつむいて顔が見えないが、握りしめた拳に頬を伝って水滴が零れ落ちていた。女子は女子でこそこそ話をしだす始末だ。

 物理的に四面楚歌、精神的にも八方塞がりのこの状況でどう言い訳をしようか。

 いや待て、そもそもやましいことなど何一つしていない。ただ彼女の手助けをしてほしいと頼まれたところを目撃されただけだ。

 だがそんなことは言えない。彼女はそのことを言ってほしくはないだろう。

そうだ、ならばオレは保身ではなく葉月との蜜月を己の中に封印する。

 しかし、「あぁ、誰かオレの見方はいないのか……」そう思わずにはいられない。


「あの、風見隼くんいますか?」


 鈴のなるような透き通った声が人垣の奥から聞こえてきた。この声は昨日聞いたばかりだ……。渦中の人物がタイミングよく現れたのだ。


 あなたが救いの神か?


「は、葉月さん!?」


「あ、風見ならここにいますよ!」


 人垣に動揺が奔ったのが丸わかりだ。あまつさえこれから囲って尋問を始めようとしている人物に、用があると件の人物言われては、彼らはどうすることもできない。


「? みんなどうしたんですか?」


 不思議そうな顔をしてる彼女は人垣の中心にいたオレを見て質問をした。これからあなたとオレについての糾弾をしようとしていました。などと葉月に言えるものなどいない。


 これは好機だ! この面倒くさい事態から逃げ出す絶好の機会だ!


「な、なにか用!?」


 いつも喋るより大きめの声が出てしまったのはしょうがない。


「あ、風見くん、ちょっといいですか?」


 おーけー! と口を開きかけたその時一人の男子が先に口を開いた。


「あ、あの葉月さんは昨日風見とお茶しました!?」


 ド直球な質問はこの男子のみならず他の男子が最も知りたがっていた真実だ。そしてオレがどれだけ婉曲して伝えようか考えていた事柄だ。クラスにどよめきが広がる。

 別にお茶したからと言って、やましい関係になるなどとはイコールにならないのだが、そんなことは彼らに通じるわけがない。

 お茶をすることそのものが悪なのだ。ならば彼らはそれを許さないだろう。


 葉月さん、後生だ。上手く誤魔化してくれ!


「はい、放課後に風見くんとお茶しましたよ」


 これまた不思議そうな顔、だが笑顔でその質問に答えた葉月に悪気は全くない。


 葉月さんは天然なのか!?


 オレの心の中での慟哭した。

 神は死んだ。


◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 あの場から連れ出されたオレの背には、無数の視線が矢の雨のように突き刺さっていた。

 屋上へと繋がる扉の前で彼女は立ち止まる。屋上は扉が施錠されているため入ることはできない。正午過ぎだというのにドアに取り付けられた小さな窓くらいしか光がないため薄暗い空間だ。

 あまり人が近づかない場所である。そもそもここに来る用など普通は皆無だ。


「風見くんは人気者なんですね」


 葉月は感心した表情で呟いた。

 それはあんただ! と声を大にして言ってやりたかったがグッとこらえる。


「私も昨日のことについて散々聞かれました。学外でも駅ではダメでしたね」


 オレが胸中で言葉を詰まらせていると彼女は言葉を続けた。先ほどのセリフはワザと言っていたのだろう。彼女の表情は少々おどけた表情に変わっていた。

 オレの心の中でのツッコミを返してほしい。


「……それで、今日はどうしたんだ?」


 昨日は態々学外で離したのだがそれの意味はなかったためだろう。


「昨日はありがとうございました。おかげであの人からのメッセージも来なくなりました」


 そんなにメッセージを送って来ていたのか。

 結構執念深そうだし、将来ストーカーになる逸材だろうな。あ、もうストーカーだったわ。


「ブロックしてなかったの?」


「ブロック?」


 小首を傾げる仕草はそのまま疑問符を表している。

 

 まさか……。


「いや、特定のプレイヤーからのメッセージをブロックできる機能があるんだけど……」


 もしや知らなかったのか。変なところで抜けている。


「そんな便利な機能があったんですね」


オンラインゲームというかインターネットが広まった当初から似たような機能は存在するのだから、今日日その機能がないネット関連のものなど皆無だろう。


「……まぁもう来ないならいいんじゃないか」


 オパパも相当な迷惑プレイヤーだな。


「だといいです。 ところで風見くんが良ければ、これからも私とVFをやってくれませんか?」


 今なんと彼女は言った? これからも一緒にVFをやってください?


「ああ、勿論いいよ」


 即答。

 彼女ほどゲームの腕があり、尚且つ現実で知り合いの可愛い女の子など早々お目にかかれるものではない。こちらこそ願ってもない頼みであるし、こちらから願い出たいくらいだった。なにもやましい理由はなくこれはあくまでも――。


「そう言ってくれると思いました。私たちの連携って、初めてだったのにかなりうまくいきましたから、相性がいいと感じていたんです」


 葉月は本当に嬉しそうに笑う。こういうとことは先ほどのような裏表を感じない。


「オレも同じことを思ってた。視野の狭いオレには必要な人だよ」


 彼女の言うようにオレと大和がタッグを組んで戦うより、オレと葉月がタッグを組んだ時の方が動きやすかった。狙撃の指示を出しただけであるのに、ここぞという時にしてくれる状況把握とそれを活かせる技術があった。


、ですか……」


「あ! いや、そういう意味で言ったんじゃないから!」


 彼女の含みのなる表情で自分が何を言ったのか思いだし、慌てて言い訳をしてしまう。


「分かってますよ」


 慌てた言い訳を見てか、彼女は優しく微笑む。

 そこでようやく彼女にまたしても、してやられたと気付いた。


「……はぁ」


 どうにも慣れないのはどうしてだろうか。


「これからよろしくお願いしますね。くん」


「こちらこそよろしく、……さん」


 

                           序章-始まりの手紙- 終

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