第15話 魔王、部落へ行く

我がレッドと会ってから、一日が立ち、私の前にセバスチャンが来ていた。


「セバスよ……分かったか?」

「いえ……言われた通り場所を調べましたが痕跡が一切ありませんでした。」

「そう……か。」


セバスは昨日の間に頼んでいたことを報告していた。

しかし、セバスの報告には我が求めるものは無かった。


「それほどまでに手練の者達か……」

「はい……襲われたと言う業者は見つけましたが……奪われたものは無いと」

「ふむ……つまり、見たものは消してはいないか」

「はい、しかし襲われたのは覚えていましたが、襲われた人物については一切覚えていませんでした。」

「ふむ……分かった。セバスよもう下がってよいぞ。」

「はっ」


我はそう言って、セバスを下げた。

そして、我はセバスからの報告を改めて吟味していた。


「記憶を消すことが出来るか……記憶を消す魔法はそれなりに高位……それを使えるものは限られてはくるか……ふむ」


そして、我は一つの答えを出すことにした。


「よし、どちらにせよ行くことは決まっている。その時に、目族の族長に聞くとするか。」


現在、我が思う中での一番の加害者候補である、目族の族長達に聞くことにした。

そして、我は、まだ行くという事を伝えていなかったので伝えるため呼ぶことにした。


「サレン!レッドをここに……」

「はい。」


サレンは我が呼ぶとすぐさま目の前に現れ、レッドを呼びに行った。

それから、数分後サレンはレッドをこの部屋へと連れてきた。


「魔王様、お呼びでしょうか。」

「あぁ、お前に伝えたいことがある。」

「はい」

「我はお前の頼み通り行くことにしたぞ。」

「そうですか!」

「あぁ、それとだがお前を襲ったという者達について調べてはみたが、まったくといいほど手がかりはなかった、すまんな」

「い、いえ。調べていただけただけで結構です。」

「そうか……では、今日は行くための準備をするゆえ、しばし与えた部屋で待っていよ。」

「はい。」


我は、レッドにそう言い、退室を促した。

それを受け、レッドはサレンに連れられ、この部屋から放れて行った。


□□□


「さて……準備をするか。戦闘が起こる可能性があるが……ふむ、セバス」

「はい。」


我は準備をするため自室へと戻っていた。

そして、そこでセバスを呼び出した。

セバスは呼び出されるとすぐ我の後ろに現れた。


「影の者を数人用意せよ。」

「はっ、人数はこちらで決めればよいでしょうか?」

「あぁ、それでいい」

「分かりました。では、」


我は、セバスに一つの命令を与えると、セバスはそれを受け消えていった。


「これで、もし襲われたとしても大丈夫であろう。……まぁ、本来は我が出るのは禁じ手だが今回はしかたないだろう……」


我は、一人準備をしている中そう呟いていた。

本来は我は魔王……魔を統べる者であり、自身の障害を可能な限り排除しなくてはならない。

そのため、こういう外出も本来はしないほうがいい。

だが、現状ではそれは悪手になってしまうであろうと我は考えていた。

なにせ、人族との友好を打ち出したからだ。

まだ、人族と友好になれないとい魔族の種族もいる。今回のことはそれの第一だと思った。


「さて……準備は、こんなものだろう。」


我は一通りの準備を終え、再びセバスを呼んだ。


「セバス」

「はっ。」


セバスが現れ、我はセバスに準備できたことを言った。

そして、我はセバスに我が連れて行く影の者について聞いた。


「セバスよ、影の者の選定は決まったか?」

「はい、決まりました。今回はこの4名が魔王様の護衛になります。」


セバスはそう言うと、四人の黒装束の者が我の前に現れ跪いた。

そして、セバスはこの四人の名前を一人ずつ言って言った。


「右から、シャドー、ステル、クリア、ルエットでございます。」

「ふむ、そうか」


我はそれを聞き、一人一人の体格及び、服装の違いを頭に叩き込んだ。


「では、お前達、我とレッドをしっかりと守ることを命令する。」

「「「「ハッ」」」」


我は、その四人にそう命令すると、その四人は頭をたれ、その場から消えた。


「では、セバスよサレンに言って、正門……いや、ここは裏門に来るようにと伝えよ。」

「はっ」

「では、我は行く」

「お気をつけて……」


我はセバスにそう言い、自室から出て行った。


□□□


「魔王様、到着しました。」

「ふむ、来たか。」


我が城の裏門で待っていると、レッドとサレンがやって来た。


「では、行くとするぞ、お前の部落までどの程度かかる?」

「そうですね……私の部落ですと……私の速度で歩いて、3日と言うところでしょうか。」

「ふむ……そうか。ならば、アレを使えば1日と言った所か。サレン、城のことは頼んだ。」

「はい、任されました。」

「では、レッドよ少し離れよ。」

「はい」


我はレッドにそう言った。サレンはそれを察し自らはなれていった。


「闇の主が求む暗き馬車よここに来たれ!『アンサモン・フォース』」


我が呪文を唱えると、我の目の前に漆黒の馬車が現れた。

この馬車は、外見を見ると目立つが、隠蔽の魔法がかかっているため我が認めたもの以外は普通の馬車に見えるようになっている。


「さて、行くぞ。」


我はレッドをその馬車に乗るように促し、レッドが乗ると、我も乗った。

そして、我とレッドをつれその馬車はレッドの……目族の部落へと向かって歩み始めた。

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