第7話 魔王、青年の話を聞く
我は、入ってきている青年……いや、三つ目族の次期長であるレッドと対面していた。
「して、用とは何かな?」
我はレッドにそう問いかけた。
レッドは我の方を見て、何から言おうかという迷いを見せいてた。
けれど、それはすぐになくなり、レッドは口を開いた。
「はい、……実は目族の長達から魔王様に我が里へと来ていただけないかということを伝えにきました。」
「ふむ」
「魔王様に我が里の現状を知ってもらえると同時に、我らの考えも知ってほしいということです……」
「……なるほどな。」
レッドの言葉に我はふむと肯いていた。
けれど、我も魔王であり、この城を簡単に離れると言うことはできない。
先日の時は、無断で出たがあれはアレだ。嫁のピンチだったからな。
「1日、待て。今この場ではよかろうとは言えぬ。」
「はい……了解いたしました。」
レッドは、頭を下げそういった。
そして、頭を上げ、再び我のほうへと顔を向けた。
「……実はそれとは、別にもう一つお話があります。」
「ふむ?それは何だ?」
我は頭を傾げ、レッドに続きを促せた。
「はい……実はここに来る途中の話なのですが……私が襲われた件についてです。」
「ふむ。」
「私がココに来るまでに身分を隠して、乗合馬車を利用していました。しかし、その馬車が襲われ、その襲撃者が私の本当の名前を名指しで呼び襲われました。」
「ふむ、それでそれがどうしたのだ。」
「はい、その襲撃者ですが……私を『本当の名前』で名指ししたと言いました。ですが、私は表に出ることがないのです。出たとしても偽名で通しています。」
「……つまり、そなたの存在を知っていたということか」
「はい。……疑いたくはないのですが身内が私を襲うように命じたと考えています。」
「ふむ……」
「それともう一つ……その襲撃者は目族ではなかったのです。」
「なるほどな……」
我はレッドの話を聞き、深く考えた。
レッドを襲うということは、この話しを我にされたくなかったと言うことか、それとも、目族が襲われ殺されたことにして我に、人族が襲ったということにしたかったのか……
こう考えると、やはり後者だと言うことになる……
だが、なぜそんなことをする必要があるのか、我にはまったく分からなかった。
我に人族に嫌悪して欲しいと考えるならば、我に用があるレッドよりも我に親しき人物を襲えばいい。
「ふむ、分からぬな……」
「……そう、ですか」
「だが、それも検討しておこう」
「……ありがとうございます!」
「さて、他に何かあるかな?」
「いえ、これ以上、私が告げることはありません」
「そうか……では、今日はこの城にとまっていくといい。
襲われたということはまた襲われる可能性もある。この城ならば城下街にある宿よりかいくらかましであろう。それに、最初のことの返答もある。」
「はい、ありがとうございます。」
「では、今から呼ぶメイド長に案内してもらうといい。」
そして我は、メイド長を呼び出した。
「はい、ただいま」
「この者を客間に案内を頼む。今日その部屋を貸し与える」
「分かりました。」
「では、明日まただ。」
「はい。」
そして、レッドはメイド長の後に続きこの間から出て行った。
□□□
我はレッド達がこの間から離れてから考えていた。
考えることは多々あるが一つ、目族は我に来てほしいということは、現状を知ってほしいと言うことだ。
けれど、その使者を襲ったということはまた別の思惑持ちもいるということになる。
ふぅむと我は息づき、どうするかと悩んでいた。
「セバス、いるか」
「はい。なんでしょうか」
我はひとまずセバスを呼ぶことにした。
セバスは呼ぶと我の前にさっきまでいたかのように現れた。
「一つ、頼みごとだ。あの青年を襲ったと思われる人物について探れ。」
「……了解いたしました。」
「……期限はとりあえず私が、目族の里へ行くまでだな。」
「ハッ……では、早速探りをはじめます。」
そう言って、セバスは我の前から姿を消した。
我はそれを確認し、王座から立ち上がり、自室へと行くためこの間から出て行くのであった。
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