◆Middle04◆学園の偶像
この学校にも、ご多分に漏れず“伝説の樹”というものがあった。
それは、この木の下で告白すれば想いが通じるというあれだ。
引きこもりチャンプ・クロウにとっては最もふさわしくない場所だった。
GM:では、ガートルードの元に向かうクロウのシーンだな。交渉に向かうんだっけ?
クロウ:いや、下駄箱に手紙を入れて……伝説の樹の下に呼び出したいんだが。
菫:伝説の樹っ!? あるんだっ!(笑)
GM:様式美という奴か! よし、伝説の樹はあることにしよう。クロウがガートルードの下駄箱に入れてから三〇分ほど……彼女はその場に姿を現わした。きょろきょろと辺りをうかがいながら、手紙の主を捜し……やがて伝説の樹の下に立つキミを見つけた。清楚さと凛々しさ兼ね備えた少女。紅い髪を揺らしながらクロウの前にやってくる。
クロウ:わざわざ呼び出してごめん。白いシャツに、胸には薔薇を挿した俺。
GM:なんで薔薇……(笑)。彼女はぷいっと顔を横に向けたまま、目も合わせずに聞く。「……ええと、その、用件は……なに?」
クロウ:そう告げる彼女の頬は、紅く染まっていた。
ルイン:ええい、勝手にナレーションを入れるんじゃない!(笑)
クロウ:ふふふ。……ガートルードさん。俺の話を少し聞いてほしい。
GM:「……いいけれど」
クロウ:話したいのは生徒会長のことだ。この学校から俺たちを出さないというあいつの意見はもっともだと思う。が、友人を助けに行きたいという気持ちは、誰にも止められるものではないし、止めてほしくもない。だからこそ、キミにお願いしたいことがあるんだ。
GM:「あなたの気持ちはわかるけど……回りくどいのね。なにをしてほしいの?」彼女がそんな質問を返したところで判定をしてもらおう。この判定は、成功すると情報が出るというよりは、彼女が協力的になってくれる、というものだ。【知力】で難易度は10!
フジヤマ:つまり、美人局を……っ!
クロウ:言うこと聞いてもらぜ!(ダイスを振る)……達成値12。成功! ふふふ。
GM:く、なんだその満面の笑顔は……(笑)。
クロウ:まず念のため……生徒会長について、知ってる情報を教えてもらえないか?
GM:「これといった情報はないわ。たまに熱い視線を感じるのが気になるくらい」
クロウ:それは、あの年齢の男子にはたまにある健全なものだ。気にしないでいい。
GM:「へー」彼女は、素でピンとこないようだ。「で、お願いしたいことって?」
クロウ:(少し考えて)……助けを待つ生命がある。この学校の実力者であるあんたが、俺らと同じ気持ちでいてほしいんだ。
GM:「そこは理解しているつもり……だけど」
クロウ:ありがとう。では、生徒会長を説得する時は協力してくれるね。
GM:「え、ええ」
菫&フジヤマ&ルイン:……(←次にどんなゲスなことを言うのか、わくわくしている)
クロウ:そして、この薔薇を受け取ってほしい。
一同:なんでだっ!?(笑)
GM:「……せっかくだから、いただくけれど」彼女は表情を強ばらせている。
クロウ:……ま、ここは薔薇の花だけあげて、背を向けて去ろう。クロウの中にあるギャルゲー主人公はこんなイメージ。これで完全に俺の虜だ。ふふふ……。
ルイン:む、好感度アップを狙った行動……のつもりか?(笑)
フジヤマ:あれ、他にはなにも要求しないのデスか? 美人局作戦は……。
クロウ:やろうと思ったが、ちょっとネタを思いついた。今はここまでで(笑)。
GM:では、クロウが颯爽と去ったところでシーンを終えよう。最後に、その場に残されたガートルードが困惑した表情で手にした薔薇を見つめ―――。
「え、あの、つまり……どういうこと?」
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