◆Middle02◆寡黙な少女

 生徒会副会長ヒルダ・ユンカース―――。

 生徒会活動にあたっては会長に常に寄り添い、会長のために働き、そのすべてを知る少女。

 少女は、図書館の片隅で静かに本に視線を落としていた。


GM:では、次のシーンだ。まずは、副会長に会いに行く組……ルインとフジヤマからいこうか。今日は運命日……現代で言うところの日曜日だ。キミたちが聞き込みをすると、副会長なら図書館で見かけた、という目撃情報を得ることができた。

ルイン:では、図書館へ向かおう。

GM:彼女はすぐに見つかった。古式ゆかしい図書館の一室で副会長はひとり、本に視線を落としている。どこか物静かな雰囲気をまとった、エルダナーンの少女。セミショートの髪に眼鏡……外見年齢は一五~六歳くらいかな。ただよく観察すれば、本の間に挟んでいる写真のようなものをボーッと眺めているようで……。

フジヤマ:こっそり背後に忍び寄って、のぞき込みたい。

GM:ぶ(笑)。では、【感知】で対決だな。フジヤマがアクション側、こちらがリアクション側だ。(ダイスを振る)こちらは12!

フジヤマ:(ダイスを振る)こちらも12。リアクション側優先の法則で、そちらの勝ちっ!

GM:フジヤマは、副会長の背後にそっと忍び寄った―――が。副会長の手元をのぞき込むより0.1秒早く、彼女は本を閉じた。そしてなんら感情を見せることもなく、フジヤマを一瞥。抑揚のない口調で問う。「……なに?」

菫:綾波系だ!(笑)

GM:「たしかフジヤマ・グレイスに、元ブラックロータスのルイン・シュレディンガー」

フジヤマ:ほう、たいした記憶力。ミーの用件は簡単デス。生徒会長について聞きたい……例えばその本に挟んでいる写真のこととか、ネ―――と、カマをかけてみマス。

GM:「……あなたには、関係ない」視線をそらし、副会長は頬をかすかに赤く染める。

フジヤマ:あれ? 本当に会長の写真だった?

GM:「彼は立派な人。そして完全無欠。たしかに私は会長のスケジュールを把握してる。でも会長を貶めようと近づく人は多い。だからなにも言えない」

フジヤマ:ミーたちは、もっと彼と仲良くなりたいのデェス。

ルイン:うちのギルドリーダーが、友達を探すために学園外に出たいと言っている。だが、生徒会長に止められているのだ。仲良くなりたいのは、それを実現するためでもある。

GM:彼女はため息をこぼす。「あなたたちが、そのためにダンジョンに挑んだことは知っている。気持ちはわかるけど、会長の意見が正しい。二重遭難は困る」

ルイン:正論だが「はい、そうですか」というわけにもいかないのだ。

フジヤマ:生徒会長のスケジュールを把握してるなら、あの男がナイトメアモードに設定変更しようと、ダンジョンの管理室へ行くことが可能だったかどうか、知ってそうデスね?

ルイン:よし、それも含めて聞いてしまおう。

GM:では、難易度10の【精神】判定だ。これに成功すれば、副会長は質問に答え、なおかつ協力的に情報を提供してくれる。

ルイン:(ダイスを振る)……お、10でぴったり成功! 私たちがナイトメアモードで死にかけたのは、生徒会長の仕業かもしれない。心当たりは?

GM:「その事象は確認していない。……ただ、あなたたちがテストダンジョンを攻略している時間帯、私は会長の動向を把握できていない」

ルイン:やはり会長がやったのか? だが、会長になりすまして別の人物が……という可能性もある。その空白の時間前後、誰かと接触していたりは……?

GM:「それは確認できない」

ルイン:……現状、会長が最重要の容疑者であるのは変えられんか。ならば、それをやった確たる証拠があれば、ウソをついたことを追求できる。

フジヤマ:……もしくは、決定的な弱みを掴めばもっと楽デス。

ルイン:(少し考えて)……副会長。キミにとってあの男は、大事な人物なのだろう。彼は今、何者かに陥れられている可能性がある。くくく、彼を救いたいと思わないかね?

菫:うわ、なんか悪い笑顔だ!(笑)

GM:「……あなた、ゲスね」表情ひとつ変えず、ルインから視線を外さぬままに言う。「それで? 私はなにをすればいい」

ルイン:素直でよろしい。生徒会長から本音を引き出すため、彼の弱みになるなにかを教えてほしい。加えて、彼の動向を逐一報告してくれ。

GM:「前者はNO。個人的な情報を教えたくはない。後者は彼のためになること、という前提で了承」彼女はそう言いながら手元でペンを動かし……すっとメモを差し出した。

フジヤマ:メモ? なにが書かれているのデス?

GM:ある日付と時間だ。「……三日前の深夜、私が会長の行動を把握していない空白の二時間がある。スケジュールを報せないということは、隠したい事実があるということ」

フジヤマ:な、なんかスケジュールを報せてないことにお怒りのような気がしマス。

ルイン:その時間を調べろ、と?

GM:「そう。校内は、一般生徒が行動できる範囲が限られている。生徒会役員が入れるエリアなら、私がサポートできる。ただし、調査でわかったことは私にも教えることが条件」

ルイン:いいだろう。協力感謝する。情報も有効に使わせていただこう。くくく。

GM:では、副会長と話を終えたところで、シーンを終了しよう。

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