◆Middle09◆それはきっと橋じゃない

 眠りこけた菫を救出すべく、フェイトをつぎ込んでまで崖を飛んだのはフジヤマだった。

 彼女を起こしてのち、開いた宝箱に入っていたのはポーションだった。

 その直後、宝箱のあるエリアが突然、崩落を始めたものの……ふたりは判定に成功してクロウたちの元へと無事に帰還した。

 なんかフェイトを合計で4点使った気もするが、彼らは気にしないことにした。


菫:く、く……く―――っ!(笑) 最初にファンブルした時にフェイトをけちらなければ……!(笑)

クロウ:あるある。よくある。

GM:ともあれ、キミたちは崖エリアを出て、次のエリアに入ったのだが……と?(ちらりと時計を見ながら)うへ、もうこんな時間か(笑)。ちと時間かけすぎたな。時間がやばそうなので、次のエリアは飛ばしてラストエリアにいくか(笑)。

菫:え、飛ばしちゃうんですかっ!?

GM:いやだって、クライマックス戦闘でかかる時間を考えると終電が……具体的には、キミの終電がやばそう(笑)。

菫:(時計を見て)……だ、大丈夫! まだ大丈夫なはず! せっかくのダンジョンなんだから全部やりましょうよっ! いざとなったら漫画喫茶に行きます!

クロウ:やる気だっ! すごいやる気だ! おっしゃ!(パンパン、と自分の顔を叩いて)気合い入った! 次のイベント、超高速でクリアする! 時間はなんとかしてやるぜ!

菫:はいっ、やりましょう!

GM:(少し考えて)……よし、いくか。漫画喫茶には泊まらせない! 絶対に時間内に終わらせる! 万が一の時は、全員で朝まで飲みだ……っ!(笑)

クロウ:おっしゃ! 明日は会社だけどつきあうよっ!?(笑)

GM:では、新しいエリアの説明をする! そこは、巨大な部屋だった。その風景をひとことで言うならば……地底湖! 切り立った崖の下に、地底湖が広がっていた!

菫:また崖―――っ!(笑)

GM:なお、向こう岸には、巨大な扉が四枚ついた、神殿のようなものが見える。あれが、クライマックスの戦闘が行われる場所だろう。

一同:うわぁ~……。

菫:見るからに……(笑)。

ルイン:こんどは泳ぎか?

GM:安心してほしい。キミたちの立つ場所から神殿まで、橋がまっすぐに伸びている。

一同:安心できないっ!?(笑)

GM:なお、橋は鉄でできており、その幅は二〇センチほどだ。

クロウ:それは橋じゃないだろっ! 鉄骨って言うんだよっ!?(一同爆笑)

フジヤマ:で、これを渡るためには……?

GM:ここは、戦闘ラウンドと同じ進行をする。なに、戦闘と同じようにふつうに移動すればいい。橋の長さは二〇メートル。ただ、移動するたびに【敏捷】の判定が必要だ。失敗すれば水に落ちる。

菫:あの、全然ふつうじゃないような……(笑)。

ルイン:くっ、[全力移動]を二回しないと無理だ……!

フジヤマ:二回の【敏捷】判定はちと厳しいデスね。難易度は?

GM:とりあえず8。

一同:とりあえずってなにっ!?

フジヤマ:待ってクダサーイ! 先に行くほど橋が細くなっているとか……そういう典型的なアレでソレな展開じゃないデスよね?


 その問いに、GMは笑顔で応えるだけだった。


●第1ラウンド

▼行動値

フジヤマ   12

菫      8

クロウ    8

ルイン    5


GM:では、鉄骨渡りを始めよう!

菫:あ、やっぱり橋じゃないんですね……(笑)。


 最初に鉄骨の上に乗ったのはフジヤマだった。

 彼女は警戒しつつ、バランスを取りながら鉄骨をするすると進んでいく。

 そして、確信した。

 やはり鉄骨は真ん中を過ぎたあたりから、急速にその幅を狭めていた。


フジヤマ:やっぱ予想通りじゃねーか―――っ!!(笑)


挿絵↓(お手数ですが下記URLをコピーして、ブラウザに入力してください。イラストを閲覧できます)

http://www.fear.co.jp/kakuyomu_gazou/10illust03.jpg


GM:うむ。10メートルを越えたところから、判定の難易度は10に上がる。

クロウ:なるほど、予想通りすぎて驚きが少なかったぜ。

GM:だがひとつ予想していなかったことがある。

一同:は?

GM:―――ゆらり。フジヤマが移動を終えたところで、眼下の水面に巨大な魚のシルエットが三匹ほど現われた。見れば、それは超巨大な鉄砲魚だ。

一同:なに――――――っ!

フジヤマ:菊池さん! このネタ、一〇年以上前のリプレイで使ってませんでしたか!

GM:でもお前、あん時はプレイヤーじゃなかったじゃん。なお、この魚の名前はアーチャーフィッシュ改。水の弾丸を放ってくるエネミーだ。この攻撃で1ダメージでも受けた場合、ただちに【敏捷】で難易度10の判定を行うこと。これに失敗するとやはり水に落ちる。

菫:み、水に落ちると……?

GM:落ちてからのお楽しみだ。

ルイン:く……(笑)。 

GM:うへへ。では、イベントを再開しよう!


 結論から言おう。

 このイベントでは、誰も水の中には落ちなかった。

 判定をフェイトを使って強引に成功させ、アーチャーフィッシュ改の攻撃も《プロテクション》ではじく。ダメージを受けた時は、続く判定を全力で成功させていた。

 終電を逃すかもしれない……その事実は四人に予想以上の力を与えた……そうとしか思えないミラクルが幾度かあった。

 四人は、ひとりも欠けることなく対岸へと渡りきったのだった。


クロウ:……ッシャア!  

菫:たどり着いた! 無事に!

GM:くそー……ひとりも落ちなかったかー。

フジヤマ:ちなみに、落ちていたらどうなったので……? 

GM:一旦、このシーンから退場する予定だった。で、シーンの終わりに、この神殿のある湖畔に打ち上げられ……【HP】と【MP】が1になった状態で発見される。

一同:ひで――――――っ!(笑) 

GM:落ちなかったんだし問題はない! では、ミドルフェイズはこれにて終わりだ! さあ、神殿の扉を開けてもらおう! ここからクライマックスフェイズに突入する!

一同:お―――っ!

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