◆Preplay04◆ライフパスの使い方 ~アーシアン編~

 すべてを知ることは、そこに選びきれないほどの分かれ道を知っているということだ。

 すべてを知ることは、繋がる未来も見えるということだ。

 Oはたは今、それを存分に味わっていた。


Oはた:終わった……やっと終わった……。

GM:Oはた……1レベルのキャラを作るのになぜ二時間もかかった……(笑)。

Oはた:見えちゃうから……っ、そのキャラの未来が見えちゃうからです! 「このクラスの組み合わせは強いけど、あるレベルに達すると限界がくる! 伸びしろがない!」とか「この組み合わせは面白いけど、完成形になるレベルが高すぎる!」とか「これは前にやった!」とか「はまれば強いけど、火力にならない!」とかいろいろ考えてるうちに……。

GM:自縄自縛に陥ったと。

Oはた:(最高の笑顔で)イエース……! 実は今でも種族ドゥアンでよかったのか迷うところで……!

GM:ドゥアン? (作ったキャラクターシートをのぞき込んで)……あれ? この構成だったら種族スキルが死ぬんじゃ? 

Oはた:……ドゥアンのシーフは、やっぱり厳しいな!(笑)

GM:うん、ヴァーナの方が強そうな……。

Oはた:最初、錬金銃使いにしようと思っていたのを諦めたからドゥアンのままになってて……ああ、ヴァーナはいけるか……射撃だったら兎族、白兵だったら猫族ですかね。……うん、ヴァーナにするか。猫族にしよう。五分お待ちください。

GM:ここから種族を変えるのかよっ!(笑)

浅見:すげえ、すげえよ、Oはたさん!(笑)

Oはた:方針さえ確定すれば五分! 五分です!(けしけし、と数字に消しゴムをかける)


 こうして五分後、Oはたのデータは完成し、四人のデータが出そろったのであった。


Oはた:お待たせしました。完成です。

GM:長かった!(笑) しかし、現状はまだデータが完成したに過ぎません。ここから、キャラ設定の肉付けをしていこう!

庄子:ライフパスですね!

GM:そうそう。[出自][境遇][運命]……三つの表を振って内容を決めていくんだけど、種族がアーシアンの場合、[出自]は自動的に[77.現代人]となる。

浅見:ああ、たしかに地球人なのに魔術師の親がいるとか言われても困るもんな(笑)。

庄子:アーシアンは、必ず固定なんですか?

GM:ルールではそのとおり。

浅見:(ルールブックを見ながら)[77.現代人]は……「あなたは地球の現代日本で生まれた。誰かに召喚された、あるいは事故などでエリンディル西方へとやってきた。アーシアンのみ選択可能」……か。ねえ、[77.現代人]でいいから、ふつうにダイスを振っていい?

GM:え?

浅見:ふつうにダイスを振って、出た内容をキャラ設定のネタに使いたい(笑)。

GM:いいけど……[魔術士]とか出たらどうするんだ(笑)。

浅見:親はマジシャンだとか……なんか地球人っぽくアレンジする!(笑)

GM:なるほど、ほんとにネタにしたいのね(笑)。試しにやってみようか。

庄子:やった! 

GM:では、まずはPC①……! 出自からだ。D66してください。

庄子:片方のダイスを一〇の位、もう片方のダイスを一の位で見るんですよね? じゃあ……この青いダイスを一〇の位、赤い方を一の位にします!(ダイスを振る)……46です!

GM:……46は……[狩人]。

一同:狩人っ!?


「あなたの親は、狩人である。野外での活動に関する基本的な知識は、すべて親から教えてもらったものだ」


浅見:これを、現代風に訳すとなると……マタギ?

庄子:うちの両親、熊とか狩ってました! あたしも、親を見習って立派なマタギになるのが夢です! ……え、なにこの女子高生(笑)。

GM:狩人……なんか他にないかな(と、パソコンで検索をかける)…………歌手グループの狩人がまっさきに出てきたわけだが。

庄子:それいいですね! 

GM:あんたの親は『あずさ二号』でも歌っていたのか。

庄子:ちょ、ちょっと保留させてください……ちょっとひねって演歌歌手か、もしくは親はそれを目指していたとかに……(笑)。

GM:狩人の演歌歌手ってなんだろう(笑)。では、境遇表を振っちゃいましょうか。

庄子:(ダイスを振る)……21!

GM:21は……[義理の親]。


「あなたは、義理の親に育てられた」


庄子:親は義理でした!(笑)

GM:お、物語が生まれる気配が出てきた。目的表を振ってからストーリーを繋げよう!

庄子:そうします!(ダイスを振る)……62!

GM:[憧憬]だ。


「あなたは冒険者に憧れを抱いていた」


GM:この場合、狩人だった親に憧れていたってことだろうか。

Oはた:ここから導き出されるストーリーとは……(笑)。

庄子:(少し考えて)……狩人というのはちょっとちがいますが……親が、アフリカとかで野生動物を撮影する仕事をしていて、日本にほとんど帰ってこなかったんです。だからあたしはずっと親戚の家に預けられていて……。

GM:お、[狩人][義理の親]をクリア(笑)。

庄子:で、預けられた親戚の家で、言われ続けました。「……お前の親はアバウトすぎる。あんな風になってはいけない。いい学校へ行って、一流企業に勤めて、真面目な人生を送るんだよ」 でも、わたしは演歌歌手になりたくて―――。

一同:演歌歌手っ!?

Oはた:アイドルとかじゃなくてっ!?(笑)

GM:なにをどうしたら演歌歌手って夢に繋がるのか……(笑)。

庄子:親が、演歌が好きだったんです。幼い頃、父母が口ずさむ演歌が、わたしの子守歌で……親がいるアフリカにも流れるくらい、有名な演歌歌手になりたいって―――。「サバンナの大地にも届け、わたしの歌……!」 

Oはた:(げらげら笑いながら)なんかいきなりいい話に!(笑)

GM:しかし、残念なことに、キミの能力は歌唱力ではなく、肉体に割り振られていたわけで……(笑)。

庄子:そうなんですよ! ウォーリアですし!

Oはた:歌が上手くなるにはまず肉体から……ということで身体を鍛え始めると(笑)。

庄子:身体から鍛えようと思っていたら、間違った方向に……!

丹藤:ジャイアンボイス……。

浅見:その歌声は鳥をも落とす。

GM:でも、歌を遠くの地にいる親に届けたいってのはいいね。故郷の父母を思い出し、エリンという異世界に響く歌―――(寂しそうなニュアンスで)……へ●へいほー。

庄子:へい●いほー。

GM:では、そんな方向で! 次はPC②!


       *   *   *


浅見:……よし、俺がキャラメイクとはなんたるかを見せてやろう!(笑)

GM:大きく出たな。では、出自から……!

浅見:でやあ!(ダイスを振る)42!

GM:[学者]だな。


「あなたの親は、学者である」


GM:一般スキルは《アイデンティファイ》だね。アイテム鑑定ができる。

浅見:ああ、いいね。「このフィギュアには、これだけの価値があるんだよ」

Oはた:学者じゃないじゃないですかっ!?(笑) ただのコレクターですよ!(笑)

浅見:現代風味だから問題なし! 次は境遇表いきます! (ダイスを振る)……33! 

GM:33は………………[紛失]。


「あなたは、大切なものをなくした」


浅見:常識と学生生活を失いました。今は、MMOの世界が俺の日常です。

一同:ダメな子だっ!?(大爆笑)

庄子:「MMOは遊びじゃねぇんだよ!」と!(笑)

浅見:ふふふ、今までの『アリアンロッド』ではありえない設定に……いい感じだ。

GM:お、おう。では最後に目的表を……。

浅見:(ダイスを振る)また33!

GM:33は……[人捜し]?


「あなたの目的は人捜しである」


浅見:えー…………自分捜しかな。

GM:なるほど。なくしてしまった自分を捜すために、ゲームを始めてしまったと。俺という人物が輝けるのは世間一般で言う日常にはない。

浅見:そう、俺はゲームの世界の中で輝く俺を捜す。

一同:ほんとにダメな奴だ―――っ!(笑)

浅見:ふふふ、だいたいイメージ通りにいけそうな気がする。いいところの生まれで、自分の居場所を社会の中で見つけられなくて。小中高と愛想笑いの日々を送っていたところ……ひょんなことで始めたMMOの中で自分の居場所を見つけてしまい、「本当の自分はここにいた!」と、ゲームの世界の住人になってしまった。

GM:そして、自分でつけたあだ名が“黒き魔術師”だと。

浅見:(少し考えて)……“ブラックフェザー”にします。その方がイタかっこいい。俺は空を飛びたかったんです……! なお、性格はあがり症。

一同:あがり症っ!?

浅見:あがり症というか、まともに会話したことないから人と面と向かってしゃべれない。

庄子:あ、かわいい(笑)。

浅見:でもチャットだと饒舌になります。煽り煽られ超得意! でも、現実だとあまりしゃべれない。特に女子の前ではあがってしまう!

GM:た、楽しみにしている……(笑)。


 こうして……Oはたと丹藤もライフパスのダイスを振ってのち、四人はキャラ設定を作り込み始めた。そしてあーだこーだと騒ぐこと三〇分……キャラクターは完成したのだった。


GM:よ、よし……だいたい設定まわりは決まったな。ひとりひとり発表してもらおう!

一同:はーい!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援した人

応援すると応援コメントも書けます

ビューワー設定

文字サイズ

背景色

フォント

一部のAndroid端末では
フォント設定が反映されません。

応援の気持ちを届けよう

カクヨムに登録すると作者に思いを届けられます。ぜひ応援してください。

アカウントをお持ちの方はログイン

フォロー機能を活用しよう

カクヨムに登録して、気になる小説の更新を逃さずチェック!

アカウントをお持ちの方はログイン

フォロー機能を活用しよう

カクヨムに登録して、お気に入り作者の活動を追いかけよう!