家出の理由

 家出してきたという少女に私は尋ねた。


「そろそろ、そのお兄ちゃんの所に帰った方がいいんじゃない?」


「ふんだ! お兄ちゃんなんて嫌い! 大っ嫌い! もう二度と会わないもん!」


 やれやれ。私はその見知らぬお兄ちゃんの肩を持つことにした。


「こらこら。嫌いなんて言っちゃお兄ちゃんがかわいそうでしょ」


「えー。だってぇ」


 少女はほっぺをふくらませて言った。


「お兄ちゃんがわたしの育った村を一夜で焼け野原にしたんだよぉ?」


 じゃあ無理もない。

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