くちぶえ

 森の中。

 虚をつかれて魔物に囲まれた少年は、きのう助けた風の精霊の言葉を思い出した。


〝おぬしが困った時は助けてやろう。わらわを呼びたければ、空に向かい口笛を三度吹くがよい〟


 少年は空を仰ぎ、くちびるを尖らせた。


「しゅ〜! すひゅ〜! ぷす〜!」


 助けは来なかった。

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