第5話 正体

「まったく困るやつらだ。」


周りを囲まれていた。

さきほど逃げたはずのリーダーが新たな仲間を連れてやってきたのだ。

あのときの怯えた表情はなく、余裕たっぷりの表情へと変わっていた。


「さっきはよくも俺の部下をやってくれたな…、容赦しねえぞ!」

「そのセリフ小さい頃にテレビで何度も聞いたような台詞だな。」


余裕の言葉にプツンと来たのか、リーダーはキレ始めた。

今の若いやつらはこうだから困るもんだ。


「あいつを絶対に殺せ!」


号令すると先ほどよりは強そうな敵が数名現れる。

そしてその真ん中にはリーダーが立っている。


「お前もここで終わりだ、何故なら俺が殺すんだからな…。」


そう言い放つと隠し持っていた注射器を思いっきり右手に刺した。

俺はすぐ気づく、刺した注射器はあのブツだということを。


「うう…うううう!」


彼の様子がおかしくなり始める。

体が変化していき、服も破れていく。

そして最後にはみるみるとデカくなっていく。

信条の都市アサシンズゲート 三つ目のタイプは


だ。


注射器の中にある成分が含まれており、体に入れると変身し最強の肉体となるが代償に体、意識は永遠に元通りはしない。


「うがあああああ!」


最悪なパターン入ったな。

化け物は仲間だった豪傑な人間達を一気に殺していく。

逃げたやつもいたがそれも不可能に近く、頭を握りつぶされた。


「ガァァァァァァ!!」


その叫びと共に暴走する元人間の頭を撃ち抜く。

が、その頭は撃ち抜いても再生するばかりで無理なことだった。

存在に気づいた化け物はこちらに猛ダッシュでやって来る。

こいつに一発でもやられたらひとたまりもない。

俺は咄嗟に避け、もう一度頭に向け撃とうとするが化け物も反応し避ける。

化け物は人間より10倍の知識があるため意識がなくても臨機応変に対応できるのだ。


「くそ!」


そしていつの間にか化け物は自分の背後に回っており銃を奪った。


「うががうが」


銃も奪われ、なにも対抗手段がなくなり焦り始めた。

だが焦っても何も起きない、そう感じた俺は逃げることの可能性を信じた。

周りにドアなどを探す。

こうしている間もゆっくりと化け物は近づいてくる。

探していると後ろからすーっと何やら風を感じる。

注意しながらマップを確認するとドアではないが裏通りに出れる道なのらしい。


これは賭けだ、裏通りの道に逃げよう。

ゆっくりと後ろへと下がる。

化け物はまだゆっくり来ているこのときがチャンスだ。

自らの足を後ろへと切り替えて、裏通りの道へと目指しながら走り出す。

化け物も走り出す。

裏通りに向かいながら右、左へと曲がっていく。

大きな道が見える、どうやらあそこが裏通りだ。

そして出た先は裏通りではなくメインストリートだった。

道が間違っていたため裏通りではなく人がたくさんいるこの場所メインストリートにあの化け物を誘き寄せてしまっていたのだ。

もうすぐあいつはここメインストリートに着く。

俺は人混みに紛れ、前へと進む。


何としてでもここから逃げなければ!


来た道を見ると、そこにはもう

ヤツが立っていた。

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