Episode 3 VR

毎日の日課として散歩をしてるのだが、私は監視されている身。

今日はダサい格好で歩けとまたどこかから声が聞こえる。私はコンタクトレンズもはめず、髪も整えず部屋着のままやむなく外出した。


まぁ近所を散歩するだけなのだから、これくらい雑でも構わない。そう言い聞かせた。外出をすると決まってブレーキランプが片目の車が現れる。


「そっちはヤクザの車がいるよ」


そんな声が聞こえた。幸い私の視界はぼやけていて何が見えているのかはっきりしない。見えすぎない方が楽なこともあるんだなぁ・・・。


以前美術館でブラインドの人達をテーマにした展覧会を見に行ったことがある。

ボランティアの方の説明を聞きながら美術館を回った。どのような内容だったかというとあなたが美しいと感じるものは何ですか?という問いに対しての盲目の人からの回答とそれを元にした写真である。


ある人は視界いっぱいに広がる海だと答え、ある人は美しいと思うものはないと答えていた。目の前に広がる海はどこからどこまでなのだろう?

最後にボランティアの方に感想をと言われたので、私は少々震えながら


「モニタ越しに見えるものと実際にその場に行って感じることとはまったく違う。思考を映像化したり映像を脳へ送ることができたら良いのに・・・」


そう答えると


「もうそのようなことが出来ている??」


とそれとなく仰った。もしかしたら私が見ているものは現実ではなくて人口現実感VRなのではと思うこともしばしばだ。なぜなら私が外出する時間ぴったりに現れる車や人々がいるからだ。初めは単なる偶然だと思っていたのだが、それにしては頻度が高すぎる。


もしこれがリアルではなくバーチャルリアリティだというのなら時間を超越していることの説明もつく。もしかしたら私が見ているものは何十年も前に誰かが撮影したVR映像なのではないのだろうか?そしてマジックリープのように人や車が現れるだけに過ぎないのではないか。


そうこう考えている内に帰宅する。そしてまるでヘッドマウントディスプレイでも装着しているかのようにコンピュータに向かいまたMVを観る。そしてその中から気に入った曲をSNSでつぶやく。RTされたかと思えばいつものようにただのbotだ。


私はヒップホップを禁止されている。BBキャップを被るのも禁止された。

昔これと少し似た経験をしたことがある。ゲームセンターを改装したペルー人の経営するクラブへ行った時のことだ。その日そこに日本人は私しかいなかったであろう。


入店する時はボディチェックを受けた。屈強な男がそれを行う。もちろん問題なく私は入れたのだが、仲間の一人が何やらその男と揉めている。何があったかは日本語ではないのでさっぱりわからないのだ。とにかく揉めている。


この男はとにかくトラブルメーカーで以前も他のクラブで日本人のブレーキンを踊るダンサーと揉めていた。ただ何が原因で揉めているのかさっぱりわからないのだ。一応仲裁には入るものの原因がわからないのでどっちつかずだ。


その友人の男はヒップホップが好きでペルー人のクラブのDJにヒップホップをかけてくれというのだが全くかからない。その店ではヒップホップは喧嘩の原因になるということで禁止されているのだ。


たかが音楽でそんなことあるのかと思っていたが、現在の日本を見てみればかなりそれに近いではないか。BBキャップを被る日本人ももう久しく見かけていない田舎だからだろうか?いたとしても多分エージェントだろう。


エージェントはどちらかといえば奇抜なファッションでどこか垢抜けしている。

この間はシーパンクを思わせるような金に緑のヘアカラーをした女性を見かけた。その前は青い髪の女性だった。ヘアチョークか何かをつけているのだろうか少しウエットな感じだった。


K-POPの流行もあってかヘアカラーは流行っている。90年代後半とどこか似ている。赤い髪に緑の髪、違うのは一色ではないところだろうか。なぜエージェントと判るのかといえば勘と雰囲気と小鳥のさえずりだ。ただ彼等は話しかけてくることはまず無い。


動機も目的もさっぱりわからないのだ。金儲けかクラスタ特有のいじめのようなものだろう。この間SNSでは遺影まで見せられた。私はそのイラストレーターが好きだったのだが今ではその同人誌はすっかりゴミと化してしまった。


そしてその画像をSNSにアップしたらいいねをもらった。

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