愛の傘下

Bobomind

Episode 1 モノローグ

 私は今日もつぶやく。ただつぶやいている。ただ誰かに届けたくて・・・・。

朝起きてから寝るまでつぶやいているのだ。


昔、カジュアル衣料品店で一緒に働いていた店長の弟さんが独り言をよく呟いていて少しばかりの偏見を抱いていたのだが、今の私はそれと少しも変わらない。

そう毎日呟いているのだ。現在ではSNSでつぶやくのはごく当たり前の事となっているのだが、これを実社会で声に出して呟いていたらどうだろうと頭に浮かんでは考えるのだが、次の瞬間にはもう消えている。


考えることが無意味に思えるからだろうか?それとも答えが見つからないからなのだろうか?理由は判らないが無意識に考えるのをやめている。

ユングは無意識は神話だと言ったが私もそう思う。


誰かが公園でつぶやくおじさんと同じだと言ったが、大きな声で呟いていたらどうだろう。誰かが返答してくれるのだろうか?それとも警察官に止められるだろうか?分からない。いつだってそうだ本当のことなんて解らない。真理なんてわからないのだ。


でもかつては夢の中で真理を悟ったと思ったことが2度あった。何もわかっていやしないのに。夢の中では不思議とわかったんだ。


しかし夢こそ判らない。存在の意味が理解不能なのだ。何を見ているのだろうか?2度寝、3度寝する間に物語が次から次へと紡がれていく。不快だけども快感を覚える。心地良いのだけど気持ち悪い。そんなこともしばしばだ。


私は夢見がちだ。だがある日突然それは奪われた。それはお昼のマンネリ化したバラエティ番組をみているときだ。なぜか出演者が私のことを話しているのだ。初めはただの気の所為だ。ただの勘繰りだと思っていた。しかし司会者のサングラスの男が成功だと言っている。一体何が成功したというのだろうか?


私が次にとった行動は常軌を逸していた。本当に私のことを話しているのか確認する為に側にあった雑誌を手に取り丸めテレビ画面に映る芸人をハリセンで殴るかの如く叩いた。ふと窓の外に目をやると無数の蝶が楽園から追放されるみたいに羽ばたいていったのだった。


私は何故か目がカメラにされているのではないかと考えた。何故ならどう考えても私の行動が丸見えなのだ。そして女体のような形をしたテーブルに置いてあったノートに五十音を書き留め丸めた雑誌を片目に当て覗きメッセージを送ってみた。


だが当然のように反応がない。やはり気の所為だったのだろうか。テレビを消した瞬間ピカッと太陽の光が反射した。


「眩しい!」


と思うと同時に一体この光は何時太陽から発せられたものなのだろうと思いを巡らした。インターネットで教えて検索をすると8分18秒くらいだと書かれている。一体どこの誰が計測したのだろう?普通のありきたりな計算機で計算できるのだろうか?それともスーパーコンピューターを使うのだろうか?

と少しばかり妄想を膨らませた。


私は今日起きた出来事が気になり電子掲示板に書き込んでみた。反応がない。いつも通りだ。返事がないということはただのつぶやきと同じなのだ。

SNSの利用人口はおよそ3億2000万人ソーシャル・ネットワークとは名ばかりだ。

かといって常時繋がっているのもまるで鎖で繋がれた囚人のようにも見える。


私はSNSを始めてばかりの時にランダムに情報を収集しようと多くの有名人をフォローした。しかしそれは大きな失敗でもあった。あの嫌ぁな小鳥のさえずりが聞こえてくるのだ。その声は次第に大きくなっていきそれまで最も遠い存在であった有名人が身近に感じられるようになった。距離が縮まるというのはこんなにも恐ろしいことなのか・・・。と感じつつあの歌の歌詞が頭に浮かんだ。


私の趣味は音楽だ。音楽が好きで好きでたまらないのだ。そんなこともあって今まで無意識に聞いてきた無数の曲の中から歌詞が思い浮かぶこともしばしばある。ロック、ポップ、ヒップホップ、歌謡曲、演歌、唱歌など多種多様だ。


最近のお気に入りは専らバブルガムベースとダブコア、EDMコアだ。

バブルガムベースは音が飛び出して聞こえるところがなんだか気に入っている。

ロックとダンスミュージックは混ぜるとカッコ良いのは気づいていたが2016年の現在もまた新鮮な感覚を味わうのであった。


こんな風に私は誰も振り向かない誰も気付かないモノローグを小説にまとめようと考えた。だがしかしこんな独白をどこの誰がいったい読もうというのだろうか?それを知りたくて僅か五十人にも満たないフォロワーにアンケートを取ってみた。当然のように投票率0%・・・。空炎上誰かがそう笑った。

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