Act.0035:今、愛を感じました!
豪勢な食事の後、長門は本題を話し始めた。
「
それは、
その
まずは、もちろん
これを生みだすのは魔導師たちであり、その技術はすでに確立されている。
ある一定の魔導師ならば、誰でも生みだすことができ、工場のような場所もあって常に生産はされていた。
ただし、素材が高額な上、製作時間がかかるため、1冊の値段は非常に高くなることになる。
それから、その
魔導師とは別の能力が必要で、強いイメージ力と発想力が必要とされる。
また、それを具現化する意志の力も強くなければならない。
こればかりは、あまりにも抽象的すぎて、技術として確立できていないのが現状なのだ。
そして最後は、
パイロットになるには、絶対に魔力が必要となる。
ただこの世界の人間は、すべて魔力を生まれ持って必ず持っている。
多い少ないはあるものの、世の中の半数近くの人間は、レベル5ぐらいの
ちなみに、いちずが調べたかぎり、
つまり、
ともかく、この3つの要素の内、一番難しいのが、
逆に言えば、軍事力としての
当然、権力者の中には強引に
そこで
それが協会である。
協会に逆らえば、会員の
これは実際、大きな抑止力となり、
もちろん、いちずの父親も協会員だった。
「
それは、いちずも同意だった。
有名になればなるほど、
今のうちに、手を打っておかなければならないとは思っていたところだった。
「わしは、協会の副会長をしている。わしの推薦ならば、何の問題もなく入会できるはずだよ」
好好爺然とした笑顔で、長門が
ところが、
「……なぜ、ボクにかまうんですか?」
それはたぶん、根本に疑念があったからだ。
だが、いちずも実は、同じ疑問を持っていた。
「後進を育てるのは、老兵、ましてや三大名工と呼ばれた者ならば義務。特に才能がある若者ならば、なおさらだと思っている……」
そうかもしれない、というか、それしかないと、いちずも思っていた。
しかし反面、それにしては肩入れしすぎている気もしていたのだ。
「……というのは、立て前だよ。わしは純粋に見たいんだ」
長門の笑顔の質が変わった。
いちずは上手くその変化を言い表せなかったが、長門の顔が急に子供のように見えていた。
鼻の穴が大きく開き、興奮気味にさえ見える笑顔だ。
「
「……フッ」
今まで無愛想な顔ばかりだったのに、口角をあげて双眸を輝かせ始めた。
「愛ですね……」
ボソッとつぶやいた……かと思うと、
「今、愛を感じました! あなたのロボットに対する愛を! やっと見つけた! あなたはボクの同志ですね!」
興奮しているのか、
「その愛に偽りは感じられない! そしてロボットを愛する人に悪い人はいない! ええ、そのはずです! ……だから、納得しました!」
そう言うと、
「協会の件、よろしくお願いいたします」
いち早くミカが反応して立ちあがり、主に従うように頭をさげる。
いちずと双葉も、それにつられるように立ちあがって、長門へ頭をさげた。
「……ふふ……あははは! 本当に面白いな、君は!」
長門は、すっかり上機嫌だった。
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