解答編

第47話 お腹減った事件 エピローグ

   ◆





 後日談。

 というかネタばらし――ではなく、今回は恨み晴らしだ。

 白い液体は生クリームだった。

 物凄く甘かった。単体で飲むものではないね、あれ。

 因みにそれは母が帰ってきたら作ろうとしていたケーキの材料だったそうだ。だからってなんで哺乳瓶に入れるんだよ、と抗議したかったが、母には言葉が通じないので泣き寝入りするしかない。文字通りあの後、泣き寝入りをしたけれど。

 結局、母が不在だったのは、軽い用事だけだと思ったら急用が出来てすぐには帰れなかったということらしい。少し出るだけが長引いてしまったがために食事が用意されていなかった、というのが真相である。

 滅茶苦茶謝られたが、もうどうでもよかった。

 責める気にもなれない。


 では、私の食欲は結局どうだったのか。



 それは兄がミルクを作ってくれたことで満たされた。



 ついでに兄は私が散らかした様々なものを片付けてくれた。

 何ていい兄なんだ。

 そう感動に目を潤ませていたら、母が帰ってきて、「ぶーん。しゅごごごご」と、彼は再び飛行機に興味がある少年に戻ってしまった。母と飛行機に何の関係があるのだろうと不思議に思いながらも、五歳児なのだから行動に意味がなくそんなものだろう、と思うようになった。


 さて、今回の教訓はたくさんあった。

 一つ。

 自分自身を過信しないこと。

 一つ。

 集中しても周囲に気を配ること。

 一つ。

 白い液体があっても、ミルクだと思わないこと。

 以上。

 いい経験だった。

 この経験を積んで、私は大人になるのだ。

 赤ちゃん故に、経験が足らない。

 それを実感させられた、事件(?)だった。


 私は未熟だ。

 赤ん坊だ。


 だからこれから思い切り成長してやる。



 そう誓った、重要な事件だった。

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