第45話 お腹減った事件 14

 えっ……?

 予想外の出来事。

 先の音は引き出しが落ちたわけではない。

 引き出しはかろうじてまだ残っていた。

 だが――淵にかけていた足。

 これは滑ってしまった。


 しかも外の方に。


 勢いで体重が後方に移動する。

 手が離れてしまう。

 この後の未来は単純だ。

 落ちるだけ。


 背中から床に落ちてしまう。


 まあでも、布団があるから大丈夫だろう。

 ……いや、違う。

 何を言っているんだ、私は。


 使


 後悔しても時すでに遅し。

 空中に浮いた私の身体は、既に私ではどうしようもなかった。


 色々とミスをしすぎた。

 お腹減ったとはいえ、目の前のことに集中しすぎた。

 だから後ろのことなんて何も見ていなかった。

 布団が既になかったことなんか頭の片隅にも置いていなかった。

 これは、完全に私の敗北だ。

 反省点だ。

 次からはもっと考えよう。

 次があれば、だが。

 打ち所が悪ければ脳にダメージが当たってしまうだろう。赤ちゃん故に色々不完全だから、骨も折れてしまったりするだけで致命的になるかもしれない。

 でも自業自得だ。

 お腹が減ったならば大人しくしておけばよかったのだ。

 死ぬほどのレベルではなかっただろう。

 一日くらいなくても良かったではないか。我慢すれば。

 やはり食欲には勝てなかったよ。

 目の前の欲に負けた、私のミスだ。

 

 そう諦めて目を閉じた――




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