第40話 お腹減った事件 09
私の身長では立ったとしても、哺乳瓶には手が届かないだろう。
しかし、哺乳瓶は淵に見えているのだ。
どうにしかして手に入らないだろうか。
哺乳瓶がこちらに倒れてくれれば――
――そうだ。
私は一度後ろを向いて、台所から距離を取る。
野蛮な手だが、これが有効なのではないか。
私は決めた。
自分の身体を使って、ミルクを取ることを。
体当たりだ。
台所に体当たりをして、振動でミルクを落とす。
そうすれば手が届かない高さにあるミルクも、手の届く所にやってくる。
さすがに頭からぶつかるわけにいかないので、直前で体をひねって肩でぶつかるけれども。
よし、やろう。
時は一刻を争う。
私のお腹が限界に近づいてきている。
思考もだんだん浅くなってきている。
早くしないと。
当たる場所は、引き出しの取っ手から少し外れた場所にしよう。ミルクの真下だが、あそこは当たるには危ない。
ぐっ、と足に力を入れる。
白い液体の入った哺乳瓶を見つめる。
あれを落とすんだ。
決意を固め、いよいよ突撃――
――いや、待てよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます