113話 四十一区の領主
四十一区の領主、リカルド・シーゲンターラーの館は、正直、微妙な造りだった。
なんというか、四十区の領主の館に対抗して作ってみたが技術が追いついていないのであちこち失敗している……という感じを受けた。
「先代の頃から見栄っ張りな領主なのか?」
俺は隣に立つナタリアに小声で話しかける。
「これは、代替わりしてからリフォームされたものですよ」
「は? ……いや、だって、なんか古臭いぞ?」
「デザインした方の頭と使用した木材が古かったのではないですか?」
わぁお、辛辣。
ナタリアもここの領主のことはあまりよく思っていないようだ。
親同士も子同士もあまり良好な関係とは言えないもんな。
四十一区にしてみれば、唯一格下の四十二区にだけは何があっても負けるわけにはいかないという思いがあったのだろう。
……そんな対応をされりゃ嫌いにもなるわな。
「……素手で」
ナタリアが拳を握りつつ、ぽそりと呟く。
「解体してみせましょうか?」
「お前なら出来そうな気がしないでもないが……やめておいてくれ」
宣戦布告しに来たんじゃねぇっての。
「遅いね。いつまで待たせるつもりなんだろうか」
エステラがイライラとした表情で言う。
俺たちは、領主の館に着いて門兵に取次ぎを頼んでから、優に二十分は門の前に立たされている。
他の領主なら「無礼だ」ともうすでに帰っているところだろう。
……こういう嫌がらせをするから嫌われるんだよ。ここの領主は。
もっとも、こちら側も表敬訪問ってわけじゃないので、エステラの服装も簡単なものだ。いつもの服装よりほんの少し質のいい程度だな。
「こっちが怒って帰れないことを見越してのこの嫌がらせ……」
「器の小ささを自ら大声で宣伝しているようなものでしょうに。そもそも、他区の領主を館の前に待たせるなど、領民が見たらなんと思うか……」
女性二人の殺気が物凄い。
ちょっと離れておこう。
器の小さい領主の嫌がらせを受けつつ、俺はぐるりと街の中を見渡す。
「……静かだな」
道路の整備はされていない。だが道幅が広く、ごみごみした印象を受けない分小奇麗に見える。
狩猟ギルドが拠点にしているだけあり、獣の運搬をしやすいように配慮してあるのだろう。
その割に、賑わいに欠ける。
閑散としているというのか、これだけ広い道にもかかわらず人があまり歩いていないのだ。
行き交う馬車もほとんどない。
ここに突っ立っている二十分の間に通った馬車の数はたったの二台だけだった。
「お待たせいたしました」
門に背を向けていたせいで、使いの者がそこまで来ていたことに気が付かなかった。
不意に背後から声がして少しびっくりしてしまった。
それくらいに、この街は静かなのだ。静寂ではないまでも、息を潜めているような……少し、耳鳴りがした。
「領主様はとても忙しく、本日も時間を作るのに大変苦慮しておられました」
領主のもとへと俺たちを導く案内役のジジイがそんなことを慇懃な口調で言ってくる。
そして、大きな扉の前で立ち止まると、腰を折りながらこう付け足した。
「ですので、どうかあまりお時間を取らせませぬよう、お願い申し上げます」
ナタリアが懐に手を伸ばしたので腰を小突いておいた。
……刺すなっつの。
あと、腰に触れた時の「ひゃん」って声、結構可愛かったぞ。
「ようこそ、四十二区の領主代行君」
通された部屋は大きな窓を背後に控えた豪奢な執務室だった。床に大きな魔獣の毛皮が敷かれており、豪華な雰囲気を醸し出している。
「ご無沙汰しております、シーゲンターラー卿」
「はっ!」
エステラの挨拶に、四十一区領主リカルド・シーゲンターラーは鼻を鳴らした。
「やめてくれ。首が痒くなるぜ。俺とお前の仲だ。堅苦しいのは抜きにしようや」
「はて……ボクと君の間にそんな深い仲があったとは知らなかったね」
「ふん。相変わらず可愛くねぇ女だ」
「現在は領主代行という立場で来ているからね」
「ふん……」
リカルドは眉を顰めながらも、口角をクイッと持ち上げる。
執務机の向こうで革張りのデカい椅子に腰を掛けるリカルドは、背もたれに体を預け尊大に足を組んだ。
アゴを持ち上げ、こちらを見下ろすように視線を寄越す。
「手紙を読んだぜ」
「(椅子を勧めろぉ!)」
話し始めたリカルドに、エステラが殺気を燃え上がらせる。
俺たち三人は、執務机の前に立たされたままなのだ。
背後には脚の短いソファが並んでいる。本来なら、リカルドがソファの方へと移動し、俺たちを向かいのソファに座らせるべきなのだが……社長室に呼び出された社員みたいだな、俺たち。
怒りに震えるナタリアだが、エステラから視線を送られるとスッと姿勢を正した。
エステラの視線が俺にも向けられる。
「(挑発行為は禁止だよ)」
エステラの目は、そう語っているように思えた。
分かってるよ。
いくら俺でも敵の本拠地でいきなり敵の大将を煽ったりしねぇって。
狩猟ギルドの支部でだって、最初は大人しかったろ? これで結構平和主義者なんだぜ。
「それで、今日はなんの用なんだ? こっちは色々やることがあってな。用件は手短に頼むぜ」
「(忙しいのなら無駄な嫌がらせに二十分も使わなければいいではないですか)」
「(……ナタリア、落ち着け)」
ナタリアがここまで毛嫌いするヤツがいるとはな。
まぁ、リカルドの鼻につく性格が受けつけないってよりかは、エステラに対する数々の無礼のせいって感じだけどな。
「では余分な挨拶や慣例は省かせてもらうよ」
「はっ! お前みたいな田舎者にそんな作法期待しちゃいねぇよ」
「(ヤシロ様。今までどうもありがとうございました)」
「(待て待て! お前はなんの覚悟を決めたんだ!? いいから大人しくしてろ!)」
辞職覚悟でリカルドを討ってなんになる?
戦争になるぞ、マジで!
「狩猟ギルドのギルド長に面会を頼みたい。少し大掛かりな仕事を依頼したいから、こちらの区に多少の影響が及ぶかもしれない。その点についても、あらかじめ伝えておきたかった」
「あらかじめ……ねぇ」
リカルドは、執務机の上に足を伸ばすと、ペン立てに立てられていた羽ペンを蹴り上げた。
爪先を上手く羽に引っかけて蹴り上げられた羽ペンは、弧を描くようにリカルドの手元へと飛んでいく。……器用なヤツだなぁ。今度俺も練習しよう。
「つまり、狩猟ギルドのメドラに手紙を書けってわけか?」
「紹介状を託してもらいたい。支部長に頼んでも協力を得られなかったのでね」
「ははっ! なんだお前? 自分の領内に住んでるヤツに協力を断られたのか? ははは! こいつは傑作だな」
羽ペンを指で弄びながら、リカルドは大口を開けて笑う。
「くぅ~…………やっぱ、女だから舐められんだろうなぁ」
「……」
「――っ!」
無言で――呼吸すらせずに――動き出そうとしたナタリアを、俺は寸でのところでなんとか食い止める。……腕が届いてよかった。しっかり握ったナタリアの腕は、予想していたよりも少し細く……しかし、筋肉が引き締まっていて硬かった。
鍛えているからじゃない。こいつは今、本気で殺意を抱いたのだ。
その腕から力が抜けるように、俺は軽く揉んでやる。
「……申し訳ございません」
「いいよ。お前より早く動けたのはただの奇跡だから」
奇跡が起こったってんなら、そりゃ神様ってヤツのおかげなんじゃないのか。
帰ってから、お前らの大好きな精霊神様とやらに祈り倒しとけ。
「そうかもしれないね……」
エステラが、ゆっくりと言葉をのみ込むように吐き出す。
言いたい言葉をのみ込んで、言わなければいけない言葉を吐き出す……器用な芸当だ。
「だから、紹介状を書いてほしいんだ。正式なルートで依頼すれば、彼らも動いてくれるだろうから」
本当は言いたいんだろう。
「お前が圧力をかけて邪魔したからじゃないか!」と。
だが、証拠はない。証拠がない以上、下手なことを言えないのが外交だ。
ここで反感を買うのは得策じゃない。
よくこらえたもんだ。
「う~ん……、へへっ、どうしよっかなぁ」
だというのに……
「書いてやってもいいんだけどさぁ……それ、俺にメリットねぇよな?」
「メリット……?」
リカルドはこちらを挑発するような態度を崩さない。いや、より一層強めてくる。
「ほら、交換条件っての? なんかあんじゃん、そういうの」
「君が紹介状を書く代わりに、ボクに何かをやれと?」
「そうそう。で、何してくれんの?」
下から覗き込むように首を傾けるリカルド。
あの覗き込み方は、やられると分かるが……殴りたくなる。
「逆に聞きたい。何をしてほしいのかな? 出来ることなら協力するけれど」
相当イラついているであろうエステラは、ここまでされてもグッと怒りをこらえている。
浮かべた微笑が微かに引き攣っているが、むしろよく笑みをキープしていると褒めてやりたいところだ。
「ぎゃははっ、ねぇよ。な~んにも」
…………こいつ、バカか。
「お前に出来ることなんざ、俺だって余裕で出来るっつぅの! むしろ、俺がやった方が上手くいくし、みたいな?」
…………この男に対し、俺は何かコメントをしなければいけないか? 必要ないよな。
「それはつまり……紹介状は書けない…………と、いうことかな?」
「ん~、いや、まぁ書いてやってもいいぜ。可哀想だからよぉ」
『可哀想』と、見下すように強調して言うリカルド。
ニヤニヤとした笑みの中で、瞳の色がどろりと濁っていく。
「土下座して頼むなら……考えてやってもいいぜ?」
「帰るぞ、エステラ」
「帰りましょう、お嬢様」
「え? ちょ、二人とも!?」
俺とナタリアはほぼ同時に回れ右をして歩き出していた。
時間の無駄だ。
何より、こいつに借りを作るくらいなら街門を諦めた方がいい。
そのレベルで最低の男だ。
……こんなヤツに、エステラ本人を求められるような状況になってみろ…………俺は初めて人を殺すかもしれんぞ。
「交渉は決裂か」
これのどこが交渉だというのか。
「時間が無いようなので出直してくるとしよう」
「そうですね。四十一区の領主様はお忙しいようですので」
「ねぇ、二人とも!」
執務室のデカい扉の前で反転し、リカルドの方を向く。
ナタリアは姿勢よく、凛とした面持ちでクズ領主を睨んでいる。
俺なんか、扉に腕をかけて体重乗っけちゃってるもんね。
「どうも、お邪魔をいたしました」
ナタリアが言い、腰を折る。
こんなヤツに頭を下げられるお前を尊敬するよ、俺は。
「そうかそうか。じゃあ好きにしな」
リカルドとしても、こちらを引き止めるつもりはないようだ。
外交的無礼を働き、関係が悪化してもなお、フォローを入れるつもりが無いらしい。その必要もない相手だと思っているのだろう。
「これまで散々優遇してやった恩も忘れちまうような人間だもんなぁ。礼儀なんざ求めたってしょうがねぇよなぁ」
当て付けるように、リカルドが言う。
優遇ってのはなんのことだ? 恩? とんと身に覚えがないな。
ナタリアに視線を向けるが、涼しい顔をしたまま首を振った。
エステラはというと……困惑した表情をしている。やはり、覚えはないようだ。
「まぁ、いいさ。用が済んだなら話すこともねぇしな」
椅子に座ったまま、リカルドはぐるりと体を反転させる。
へぇ、この世界にも回転椅子ってあるんだな。
長い背もたれの上からリカルドの手が伸びてきて左右に振られる。
「さっさと帰れ」だそうだ。
顔を見合わせ、異論のある者がいないかを確認する。……うん、いないな。
俺らは満場一致でこの不愉快な場を離れる選択をした。
「あぁ、そうそう」
部屋を一歩出たところで、リカルドが再びこちらに向き直る。当然、椅子に座り偉そうに体を仰け反らせてだ。
「来月末から、四十一区を通る人と物に通行税をかけるから」
「はぁっ!?」
声を上げたのはエステラだった。
折角出た執務室へ、再び踏み込んでいく。
「ど、どういうことだい!?」
「ウチの区を通り、四十二区へ持ち込まれる物と人、それから、持ち出される物と人に通行税をかけると言っているんだ」
「聞いてないよ、そんなこと!」
「なんだ、まだ届いてないのか?」
「届いて……?」
そこで、リカルドはここ一番の邪悪な笑みを浮かべた。
「『手紙』を送っておいたぜ?」
「……手紙……」
『手紙』という単語に、どうもいやな響きを感じた。……なんだ?
エステラを見ると、眉根を寄せて顔を顰めていた。
こいつがこういう顔をする時は、何か思い当たる節があり、「あぁ、やってしまった」と思っている時だ。
……また、なんらかの嫌がらせか当て付けなのだろう。
「手紙との行き違いはともかく……物流のすべてに通行税をかけるというのは少々乱暴なのではないですか?」
「メイド如きが他区の領主に話しかけてんじゃねぇよ……どんな教育してんだ、お前んとこは? あぁ!?」
「……ナタリア」
「出過ぎた真似をいたしました」
ナタリアが深く頭を下げる。
だが、それは決してリカルドに対してではない。エステラに対してだ。
「まぁ、反省してんなら許してやるよ。俺は心が広いんでな」
今『精霊の審判』を使ったら、どうなるだろうな。これであの野郎をカエルに出来なきゃ、精霊神、てめぇは無能だ。
だが、領主に『精霊の審判』を使うってのは、まぁ宣戦布告みたいなもんだろう。もしかしたら、他の区……いや、貴族や王族をみんなひっくるめて敵に回す危険がある。……やめておく以外に選択肢はないだろうな。
「心の広い四十一区の領主様よぉ」
「……なんだよ、お前は?」
「通りすがりのイケメンだ」
「…………で? なんだよ」
うっわ、スルーだよスルー。空気読めねぇヤツ。
「失礼ついでにこのメイドの質問に答えてくれねぇか? 心の広い領主様」
「……ケンカ売ってんのか?」
心の広い領主様は酷く短気なんだな。
尊敬しちゃいそうだよ。……けっ。
「まぁ、いい。どうせ手紙に書いたことだ。教えといてやるぜ」
本当は最初から言うつもりだったのがありありと分かる。
なるほどな。こういう性格なのか。
出し惜しみして、焦らして、相手が興味を無くしたりもういいやという気分になったら自分から話す……結局は言わずにはいられないタイプだ。
ほら、聞いてやるから話せよ。
「お前の区、街門を作るんだってな?」
「そ、そうだけど……でも、それは君にも事前に…………!」
「完成すりゃ、きっと多くの冒険者や狩人、木こりなんが利用するんだろうな」
「…………そ、そう、かもね」
エステラの反論を封殺し、リカルドはたっぷりと含みのある声音で言う。
ねっとりと絡みつくような、恨みがましい視線がエステラに絡みついている。
あの目にこもっているのは……怒りか。
「そうなりゃ、ウチの街門の利用客は減っちまうよなぁ?」
「だから、それは以前にも説明した通り、街門の向く方角が違うから……っ!」
「はぁ!? 説明だぁ?」
リカルドの喉から吐き出されるのは怨嗟の声。
こいつ……ただの嫌がらせってわけじゃないかもしれない…………こいつをこうまでしているものは……一体なんだ?
「せ、説明は……すでに、十分してある…………はずだよ」
「十分か……あぁ、そうか」
投げやりに両腕を振り上げ、だらりと降ろす。
やる気が失せた時に見せるようなポーズだ。
「まぁとにかくだ。税収が減る分はどこかで補わなけりゃいけねぇ。四十二区が原因で不利益を被るんだ、四十二区に補填してもらうのが筋ってもんだろう?」
「四十二区が原因だなんて、そんなこと……」
「詳しくは、手紙に書いてある」
また、『手紙』だ。
「十分な説明が書かれている『はず』だぜ。よく読んでおくんだな」
ついにエステラが返事をしなくなった。
こちらからはその表情は窺えないが……エステラの背中は怒りをあらわにしていた。
北と西を崖に囲まれ、南側には外壁がある四十二区は、四十一区を通らないと他の区とは行き来が出来ない。すなわち、四十一区を封鎖されると、四十二区には人も物も入ってこなくなってしまうのだ。
仮に入ってきたとしても、税金分が上乗せされて割高になる。
リカルドの言う政策は、四十二区の街門を機能させないための妨害工作だ。
こいつを黙ってのむわけにはいかない。
あまりに理不尽な要求なら、きっと統括裁判所あたりが取り合ってくれるはずだ。
なにせ、これを放置すれば、四十二区に物資が入ってこなくなる危険すらあるのだから。
「……君は、四十二区との間に争いを起こそうとしているのかい?」
「それはどっちだよ? 聞いたぜ? お前のところ、軍備を拡大してんだってな?」
「はぁ!? 言いがかりだ!」
「しらばっくれんじゃねぇよ!」
椅子を倒し、けたたましい音を立てながらリカルドが立ち上がる。
デカいな……180センチくらいはあるか……エステラとでは身長差があり過ぎる。いくらエステラが男っぽく振る舞ったところで、この体格差は埋まらない。
威圧的なリカルドの態度に、エステラは半歩身を引いた。
「広場にはこれ見よがしに魔獣の頭蓋骨を飾り、兵士は数十人単位で増強したんだってな?」
「…………あっ!」
リカルドの言葉に、エステラが反応を示す。
俺も途中までなんのことだか分からなかったが……こいつ、あのゴロツキを追い払うためにしかけた偽兵士の行進のことを言ってやがるのか。軍備拡大……外から見りゃそう見えるのか。
「領内で上手く隠蔽したつもりになっていたんだろうが……あいにくだったな。バカ正直なガキどもが嬉しそうに『領主領主』と大合唱していやがるって聞いたぜ? 領主のエンブレムが描かれた旗を振りながらよぉ!」
「いや、それは……」
完全な誤解だ。
だが、そう思い込んでいるリカルドの言葉は止まらない。
「軍備を拡大し、街門を開いて利益を得て……お前ら、四十一区に攻め込んでくるつもりだったんだろうが!」
「そんなつもりはない! なんなら、今ここで『精霊の審判』をかけてもらっても構わない!」
「ふん! そうはいくか! お前、随分と頭の切れる参謀を手に入れたそうじゃねぇか」
頭の切れる参謀?
嫌な予感がして隣を見ると、ナタリアが俺をジィッと見つめていた。
前に向き直ると、エステラがこちらに視線を向けていた。
……よせ。見んじゃねぇよ。
「ここで俺に『精霊の審判』を使わせろと吹き込まれてるのか? そんなことをすりゃ、宣戦布告したようなもんだもんな。お前らからすりゃ、恰好のチャンスってわけだ。この四十一区を乗っ取るためのな!」
「だから、そんなつもりは微塵もないって!」
「じゃあ、証拠を見せろ!」
詰め寄ろうとしたエステラの前に、リカルドの指が突きつけられる。
「……証、拠?」
「そうだ。お前たちに侵略の意思が無いことを示してもらおうか」
「ど、どうしろって言うのさ?」
エステラが譲歩する姿勢を見せたからか、リカルドはニヤリと邪悪な笑みを浮かべた。
「街門の設置を白紙撤回しろ」
な……なんだと!?
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