挿話13 異世界詐欺師VS異国の詐欺師~終章~
「……はぁ」
あの異国の詐欺師事件以降、ジネットはため息が増えた。
「来ませんねぇ……」
陽だまり亭のドアを見つめてはそんなことを繰り返し呟いている。
待っているのは、あの詐欺師……ではなく、エステラだ。
「やっぱり、気になさっているんでしょうか?」
エステラは、あの事件以降一度も俺たちの前に姿を現していない。
あの日、詐欺師を追い払った後、全員の前で深々と頭を下げて謝罪の弁を述べ、四十区に行っていた者たちが戻ってくるのをここで待ち、再び深いお辞儀と謝罪。
全員に誠心誠意謝った後……すっかり姿を見せなくなってしまったのだ。
ジネットが気にかけるのも無理からぬことだ。
……何を気にしてんだ、あいつは。
「……今回の一件は、自分が詐欺に引っかかったことが発端……と思っているはず」
「自分のせいで多くの人に迷惑をかけてしまった……とか思ってそうです」
マグダが言い、ロレッタが続ける。
「だから、わたしたちに合わせる顔がないと?」
「……おそらくは」
「あの人、妙に義理堅いというか、融通が利かないところがあるですからねぇ」
「真面目なんですよ、エステラさんは……」
解釈は違えど、みんな同じ結論に達しているようだ。
エステラは気にし過ぎなのだと。
俺もそう思う。
謝ったんだからもういいだろうに。
「失礼します」
差し込む午後の陽ざしをすべて吸収してしまいそうな真っ黒なメイド服を着て、ナタリアが陽だまり亭へとやって来た。
「あ~ぁ……困りましたねぇ…………あ、いえ。気にしないでください」
「思わせぶりな態度下手過ぎるだろっ!?」
さり気ないって言葉知ってる?
「実は、どうにもこうにも参ってしまいまして」
「そんなにか?」
「えぇ……いつもの黒いシルクのパンツの代わりに、とびっきりラブリ~なネコさんパンツをお出ししたのに、それに一切気付きもせずに……っ!」
「もっと他にアピールの仕様があったろうに」
ボーっとし具合の測り方も下手なのか?
「もうお手上げです。なんとかしてください」
「お前、それはお手上げじゃなくて丸投げだ」
「わー、ちょーおもしろい。なんとかしてください」
「おだてんのも下手かっ!?」
ダメだ。ナタリアがポンコツ化し始めている。
マジでまいっているようだな。
「あんなに塞ぎ込んでいるお嬢様は、見たことがありません。皆様にご迷惑をおかけしてしまったことが、相当心苦しかったようです」
珍しく、ナタリアが疲れた表情を見せる。
こいつがため息を吐く姿を、俺は初めて見た。
「……代わってあげられるものなら、代わって差し上げたいです…………」
「……ナタリアさん」
ジネットにまで、悲痛な表情が伝染していく。
あのナタリアがこんなに弱るだなんて……
ちょっとだけ、守ってやりたいって気持ちになるじゃねぇか。なんとかしてやりたいって……
「もし、私がお嬢様と代われるのであれば……一切気にしませんのにっ」
前言撤回。
こんな逞しいヤツは守ってやる必要はない!
「ヤシロさん……ナタリアさんが可哀想です……っ」
「えっと、どのあたりが?」
「あぁ……めそめそ」
「泣いてらっしゃいます……!」
「この世界、嘘泣きは許されるんだねー」
ったく。魂胆見え見えだっつの。
要するにあれだろ?
『お嬢様を慰めてあげてください』
って、ことだろ?
「しょうがねぇな。ちょっと行ってくるか」
「あのっ、わたしもご一緒に!」
「……マグダも」
「あたしも行くです!」
「そしたら店はどうするんだよ?」
「でしたら、私が代わりに」
ナタリアがピンと手首が伸びた挙手をする。
…………一瞬の間。
「……やはり、お店はあけられませんね」
「……お客様は、神様」
「……失礼があってはいけないです」
「おや? 私、あまり信用されていませんか?」
さっきのポンコツっぷりを見た後じゃあな。
普段はメイドとして完璧な職務をこなしているのは知っているんだがな。
「……ナタリアは、メニューについての知識が不足している」
「あたし、今からひとっ走り、妹呼んでくるです!」
「それでも、誰か一人くらいは、お店のシステムに精通している、責任感の強い方がいてくださらないと……」
「こんにちわッスー! 今日も来ちゃいましたッスー!」
「よし! 問題解決だな!」
「はい!」
「えっ、な、なんッスか!? オイラ、また絶妙なタイミングで来ちゃったッスか!?」
素晴らしいタイミングで現れたウーマロに店番を任せ、俺たちはエステラの家へと向かった。
……そういえば、こいつらを領主の家に連れて行っていいのかな?
エステラ、なんとなく秘密にしておきたかったみたいだけど…………つか、あれだけ思いっきりドレス姿のエステラを見ても、ジネットはエステラの正体に気付いてないんだよな。
タイミングがいいことに、領主の娘モードのエステラを知ってるロレッタもウーマロもいなかったし……
っていうか、ロレッタはナタリアが領主のとこのメイドであることは知ってるはずだろ? そのナタリアがエステラを「お嬢様」と呼んでいることに疑問を抱かないのはおかしくないか? 点と点が線で結べないアホの娘なのか?
本当に、まだバレてないことが奇跡みたいなもんだな。
でも、それも今日までか。
さすがにこの流れで領主の家に行けば、いくらジネットと言えども……
――と、大通りに差しかかった時、俺たちは向こうから「ズドドド……」と駆けてくる一団を目撃した。
「もぉ~う! なんなんだよ、みんなぁー!?」
一団の先頭はエステラで、その後ろをイメルダ、ネフェリー、デリアにマーシャ、そしてセロン&ウェンディが追いかけている。マーシャはデリアが押す荷車水槽の中だ。……子連れ狼か。
大勢の人間に追われながらも、群を抜いて運動神経がいいエステラは器用に逃げ回っている。右へ左へ切り替えし、伸びる腕を掻い潜り、風に揺れる柳のように軽やかに追っ手から逃れ続けている。
「ボクのことは、もう放っておいておくれってばぁ!」
「そうはいきませんわ!」
「そうよ! 放っておけるわけないじゃない!」
「エステラ~! 私たちぃ、お友達でしょ~☆」
「……マーシャ、お前、ちょっと、楽をし過ぎじゃ、ないか? この荷車、意外と、重いんだが……」
「エステラさん! 僕、実は体弱いけど、頑張って走ります!」
「エステラさん! 私、今夜物凄く発光するのを覚悟の上で日中に頑張って走ります!」
「も~ぅ! なんなんだよぉ!」
どうやら、あいつらもエステラを元気づけようとしているようだ。
だが甘い。
あんな安直なやり方ではエステラは捕らえられない。
俺たちのように頭脳&チームプレイを駆使しなけりゃな!
「ロレッタ、マグダ!」
「はいです!」
「……任せて」
俺の指示で、マグダとロレッタがエステラの前に踊り出る。
「マグダにロレッタ!?」
エステラの前に立つと、マグダがお腹を押さえて蹲った。
「……あ、あいたたたぁー」
「わぁ、大変です! どこかに親切な、赤い髪の優しいお姉さんはいないですかぁー!?」
「そんなもんに引っかかると思ってるのかいっ!?」
しかし、そのツッコミが命取りだ!
「今だ! 行くぞジネット!」
「え? えぇっ!? 行くって、なんですか!?」
一瞬速度を落としたエステラを、俺とジネットで挟み撃ちして捕らえる作戦だ!
まず、ジネットがエステラの右側に立つ。その隙に、左側に回り込んだ俺がエステラを力一杯に突き飛ばす。
そこでエステラが「きゃーとばされたー!」と叫ぶ。だが、大丈夫! その先に待ち構えるジネットの爆乳で、エステラの身体は「ぽよ~ん!」、そこですかさずエステラが、「わぁークッションのおかげでたすかったやー!」と歓喜する。
これで、安全にエステラを捕らえられる!
「さぁ、ジネット! スタンバイだ!」
「え? あの? わたし? え?」
なんてことだ!?
ジネットに作戦内容が伝わっていない!
こんなにアイコンタクトを送っているのに、ジネットは小首を傾げるばかりだ。
くそ! マグダならアイコンタクトだけで分かってくれるのにっ!
「ジネットちゃんに無茶ぶりしたって、上手くいくわけないだろう!?」
そんなセリフを吐いて、エステラが俺の横をすり抜けていく。
くそっ! やっぱりエステラの運動神経は抜群だ。どんなに体勢を崩してもトップスピードのまま駆け抜けていく。
ダメだ、ここですり抜けられたら、もう追いつけなくなる。
止めるんだ! ここで! なんとしても!
「エステラァーッ!」
「なっ!?」
俺の脇をすり抜けていくエステラに向かって腕を伸ばす。
逃げていくエステラの背中が見える。
伸びろ! もっと伸びろ! 俺の腕っ!
腕でも服でもどこでもいい! 捕まえてくれ、俺の手っ!
「逃がさねぇっ!」
俺の腕が柔らかいものに触れた。
これを逃すわけにはいかない…………故に、思いっきり掴むっ!
「ぃっ!? ぅきゃぁぁぁあああああっ!?」
叫ぼうが喚こうが、こっちの話を聞くまでは逃がさねぇ!
怒るなら怒ればいい。
殴ったっていい!
あとで全部受け止めてやる!
だから、今だけ……
「我慢しろよっ!」
「えっ!?」
捕まえたエステラを強引に引き寄せ、両腕でガッチリと抱きしめる。
エステラの背中から腕を回すような格好で抱きつく。俺の口元に、エステラの耳がある。好都合なポジションだ。
お互い顔が見えないってのも、ありがたい。
「……………………ぇ?」
逃げられないように、力任せにギュッと抱きしめる。
「…………………………ぇぇぇえええええええっ!?」
腕の中でエステラが叫ぶ。
「エステラ! 俺の話を聞け!」
「はぅ……わふ……わぅ…………やし……やしろ…………な、な、なに……なにを……」
「いいから聞け! 聞くまで離さないからな!」
「ぁふっ、あぅ……わ、分かった…………き、聞く……聞くから…………」
ようやく、エステラが大人しくなった。
とはいえ、体中に力が入り、ガチガチだ。
「あのな、エステラ」
「はうぅ……っ! み、耳に息を吹きかけないでくれないかな!?」
「しょうがないだろう、我慢しろ」
「が、我慢って…………!?」
「あのな、エステラ……………………ふぅ~」
「ふにゃああああっ!? わ、わざとやったろう、今っ!?」
「不可抗力だ」
「嘘だね! カエルにするよ!?」
ぎゃあぎゃあと騒ぐエステラをからかっていると、冷たい視線に取り囲まれていることに気が付いた。
「……ヤシロ。イチャつき過ぎ」
「たぶん、もう腕を離しても逃げないですよ、エステラさん」
「公衆の面前で、ふしだらですわよっ!」
「そ、そういうの、よくないと思うな、私はっ!」
順に、マグダ、ロレッタ、イメルダ、ネフェリーだ。
「あらあらぁ、エステラってば、真っ赤ぁ~」
「そ、そんなことないよっ!」
「……ヤシロ、あたいも後で、それやってほしいなぁ」
「あれぇ、デリアちゃん。羨ましいのぉ?」
「だって、マグダはたまにやってもらってるんだぞ、アレ!」
……いや、マグダは俺の膝の上に座ってくるだけで…………つか、デリアを後ろから抱きしめるって……俺の身長じゃ無理がないか?
「あの、ヤシロさん……」
周りが騒がしくなる中、ジネットが静かに俺に言う。
「その……非常に言いにくいのですが…………あの、ヤシロさんの手が…………エステラさんの……む、胸に……」
「え?」
むにむにと、指を動かして確認してみる。
「にゃあっ!?」
……柔らかい。
え!?
柔らかいだと!?
「だから! 多少は胸があるって言ってるじゃないかっ!? もう! いい加減離してよ!」
「お、おぉ! すまん!」
慌てて手を離す。
……あり得ないものが存在した……
「まさか……あの薬をちょこっと試していたんじゃ……」
「ヤシロさんっ!?」
ジネットが慌てた様子で俺の口を塞ぎに来る。
「……そのことはっ…………エステラさんが、今一番気にされていることですので……っ!」
禁句だとでもいうのだろうか?
周りを見渡すと、その場にいた連中全員が「空気読めよっ!」みたいな目で俺を見ていた。
そして、エステラが盛大に肩を落としていた。
……なんだよ、この「あ~ぁ……」みたいな空気。
じゃあ何か?
お前らはエステラに「過ぎたことは仕方ないよ」「忘れなよ」「またいいことあるさ」みたいな、なんの解決にもならない薄っぺらい言葉をかけて励まそうとでもしてたのか?
だから逃げられんだよ。
そんな言葉はな、ショックを受けてる人間は聞きたくねぇんだよ!
「気にするな」? 気にするわ!
「忘れろ」? 忘れられねぇからモヤモヤしてんだろ!
いいか?
はっきり言っておくぞ。
そんな言葉、なんの役にも立ちゃしない!
そんな薄っぺらい言葉はな、「私は精一杯励ましてあげました」って自己満足にしかならねぇんだよ!
「エステラ。お前はまんまと詐欺に嵌った!」
「う…………っ」
俯いたエステラの肩がビクンッと震える。
そして、顔を上げ、涙を浮かべた目でキッと俺を睨む。
「だっ、だからっ! みんなに会わないように家に閉じこもってたんじゃないか! もう、みんなに合わせる顔がないから!」
「お前に無いのは乳だぁ!」
「うるさぁぁああああいっ!」
エステラが拳を握り殴りかかってくる。
俺の胸に飛び込んで、ぽかぽかと拳をぶつけてくる。
……全然痛くない。
「……ヤシロがそういうことを言うから、ボクは…………ボクだって気にしてるんだぞっ!」
「気にしてんのがいいんだよ、バカッ!」
「……は?」
まったく! こいつは何も分かっていない!
「いいか、エステラ! 人間ってのはな、人と違うから面白いんだ。個性的だから魅力的なんだ! もっと言えってしまえば、欠けている部分があるからこそ、人はそこに惹かれるんだっ!」
「欠けている……ところ…………?」
完璧な人間に、一体誰が魅力を感じるかよ。
だったら人類はみんな女神かアンドロイドに恋しちまうぜ。
「お前の周りを見てみろ」
「周り……」
エステラが周囲をぐるりと見渡す。
そこにはジネットがいる。
マグダが、ロレッタが、イメルダが、デリアが、マーシャが、ネフェリーが、セロン&ウェンディがいる。
「みんなどこか欠けてるじゃねぇか」
「そんなこと……」
「ないか?」
「…………」
エステラが、もう一度周りに視線を向ける。
それに合わせて、俺が一人一人説明していってやる。
「ジネットは、アホの子だろ?」
「酷いですよ、ヤシロさんっ!?」
遠くから批判の声が飛んでくるが、今は無視だ。
「マグダは感情表現が上手くない。ロレッタは普通過ぎる」
「……むぅ」
「普通、いいじゃないですか!?」
「イメルダは…………な?」
「『な?』ってなんですの!? はっきりとお言いなさいな!?」
「デリアはちょっと力加減を間違うことが多いし、マーシャはあざとい」
「そ、そんなことないぞ、ヤシロ! あたい、最近は割とお淑やかで……!」
「ひどぉ~い、ヤシロ君! ぷんぷんっ、だぞ!」
「ネフェリーなんかニワトリだぞ?」
「それのどこが悪いのよっ!?」
「セロンとウェンディは近いうちに爆発する運命だしな」
「「しませんよ、英雄様っ!?」」
外野の声をすべて無視して、エステラに向かい合う。
「けど、そこがあいつらのいいところだ」
「「「「「「「「「フォローしきれてない気がする……」」」」」」」」」
うるせぇなぁ、外野……
「だからな、エステラ。お前はお前でいいんだよ」
「けど……っ! みんなのそれと、ボクのは……違うじゃないか」
「だから、違っていいんだっつの。同じ悩みを共有する必要なんかないだろう? 気にするのはいいが、気にし過ぎるのはやめろ」
「だ、だいたい、君がいつもからかうから、余計気にしちゃうんだろう!?」
「からかうさ! からかうに決まってんだろ!」
「なんでさっ!?」
「お前の反応が面白いからだよ」
「そうやって面白がって…………ボクがどんなに……っ!」
人差し指を立て、エステラの唇をぷにっと押す。
「――っ!?」
こうすると、大抵の女の子は黙ってくれる。
まぁ、諸刃の剣ではあるが……これの後にちゃんとフォローしておけば、比較的許させることが多い。……ホンットに大博打だけどな。
「俺は、そんなお前と一緒にいるのが、楽しいと思ってるぞ」
「…………え……っ」
一瞬で、エステラの怒気が霧散した。
表情がストンと抜け落ち、首の付け根から徐々に赤く染まっていく。
まぁ、こいつの言うように、からかい過ぎていた俺にも責任はあるわけで……だからまぁ、今日だけ大サービスだ。本当ならこんなクッソ恥ずかし役回りは足蹴にしてウーマロとかセロンあたりに押しつけたいところなんだが…………
「エステラ。お前、胸無くていいよ。そのままでいい」
「……や……っ、……しろ…………」
右手に残る、微かな膨らみの感触…………
えぇい、クソ。こいつも認めてやる。
「それに、ちょっとだけだが、…………ドキドキしたしな」
右手の指をもにゅもにゅと動かしてみせると、エステラの顔が赤から真紅に変わった。
「バッ…………バカじゃないのっ!? スケベッ!」
ドンッ! と、エステラが俺の胸を突き飛ばす。
おぉ、これでおあいこだな、ぺったんこな胸の触り合い。
「あ~ぁっ! もう、バカバカしい! 今後ヤシロに何を言われたって気にしない! ボクは、今のボクに自信を持って生きていくことにするよ!」
「そうですよ、エステラさん!」
エステラの決意表明に、ジネットが賛同し、他の連中からも次々に称賛の声が飛ぶ。
これで、元気を取り戻してくれればいいんだがな。
「ヤシロッ」
友人に囲まれたエステラが、挑戦的な瞳を俺に向けてくる。
なんか、アウェーな感じの構図だな。
「ボクはもう、こんなヘマはしない。誓うよ」
「そういうのは精霊神にでも言ってくれ」
「ううん。君に誓う。……けど、もし、愚かにもまたボクがこんな目に遭った時は……」
挑発するような瞳がふわりと弧を描き、柔らかい笑みが浮かぶ。
「また、真っ先に助けを求めに行くから。よろしくね」
……素直になれれば、こうやって一瞬で方が付く。その程度のことなんだよな、世の中の悩みの大半は。
「おぉ、まかせとけ」
今回、エステラはヘマをやらかしたが、褒められるところもあった。
それは、すぐに俺に助けを求めたこと。
詐欺に遭った時は、すぐさま信頼出来る人間に相談するのが得策だ。
一人で不安と戦わない。
自分でなんとかしようなんて考えない。
一度深呼吸して、周りを見渡せばいい。
きっと、力になってくれる誰かがいるはずだから。
そのことが伝わっていれば……今回の騒動も意味があったと言えるだろう。
「お前ら全員、何かあったら俺を頼れ。いつだって力になってやるぜ」
そう、この世の中で何より大切なのは、助け合う心と――
「格安でっ!」
「「「「「「「「「お金取るのっ!?」」」」」」」」」
――お金なのだから。
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