ネフティス

 オーミモリヤマ警察署に着くまでは、落ち着いた時間が流れた。無線がうるさいが、誰からも邪魔されずアディー、チトマスと会話できる機会だ。


「アディー、人が一生の内にできる事って何だろうな」


「さあ、何があるでしょうね。私の場合、それを探すために毎日を積み重ねているとも言えます」


「チトマス、君が人生をかけて成し遂げようとする事は?」


「私は、地球と比べても全く見劣りしないような世界をケプラー22bで実現させる事ですね。奴隷解放など、その一部でしかないです!」


「全くブレてない、さすがだな。俺は……何でもいいから一流になりたかったんだ。全てが中途半端な人生の中で投げ出してしまった物が大半だ。でも、たった一つモノになりそうだったのが、生まれ持った集中力を活かしたコンタクト・ドライバーのスキルだったんだよね」


 アディーは信号待ちの間、目を輝かせて話してくれた。


「あ~、例の遠隔操作技術ですか。知らない人が見ると、まるで魔法使いですね。植民惑星査察官としてこの上ない能力じゃないですか」


「確かに。今までは自分のために能力を使って生きていこうと思ってたけど、これからは他人ひとのために力を使おうと考えるようになったんだ」


「オカダさん、多分結果に文句を言う人はいませんよ。少なくとも我々、仲間として見てくれている人達の中からはね」


「ありがとう、チトマス。おっと、もう到着の時間か。すごいお出迎えの数だな」


 オーミモリヤマ警察署の前には多数のアマゾネスの婦警達が取り囲んでいた。あまり歓迎はされていないようだ。ちらほらと総督府から派遣されてきている近衛兵の制服姿も見えた。

 僕は警官隊に連行され、そのまま総督府まで出向く運びとなった。はるか上空の衛星軌道上に待機しているインディペンデンス号。その秘密をすべて開示することをデュアン総督に告げたのだ。

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