コルガ

「もう寝ようぜ……まだ体調もすぐれないし。明日も早いはずなんだけど」


 僕が眠るように促すとシュレムは言った。


「もうこの五人で旅するのも長くないよ。明日オーミハチマン市に行って、ゴールドマン教授にスケさんを診てもらったら、オーミモリヤマ市に帰るんでしょ」


「そうだな、簡単に教授と会えるといいんだが。しばらくの間滞在するかもね」


 アディーも会話に参加した。


「オーミハチマン市とオーミモリヤマ市は、ほぼ隣のコロニー都市ですから、もう旅は終わりに近づいてきてますね」


 シュレムはしみじみと言ったのだ。


「もう少しだけ皆で旅を続けたいわね。看護師の仕事に戻りにくくなったわ」


 意外な言葉に僕は目を見張った。最初のうちは結構イヤがっていたのに。心の距離が縮まった! 親密度がアップした。

 事実、許されるなら僕もシュレムとマリオットちゃん、それにアディーとブリュッケちゃんと、このままずっとケプラー22bを巡る旅を続けていたい。色々あったけど本当に楽しかったなぁ……。

 マリオットちゃんがギュッと抱きついてきた。


「イヤだ! オカダ君達と別れたくないよ」


「おいおい、別に二度と会えなくなる訳じゃないぜ」


「そうだけど、そうなんだけど」


「君もブリュッケちゃんも学校があるじゃないか。シュレムは病院へ、アディーは警察署へ戻って仕事を再開しなくちゃ」


「オカダ君はどうするの、これから?」


「俺はデュアン総督とやり合った後、世直しの旅を続けるさ」


「私も連れて行ってよ!」


「ああ、いいぜ! シュレムの許しがあれば、の話だが」


 薬が効いたのか、アマゾネス達の懸命な看病? が良かったのか、ずいぶん気分が楽になってきた。

 いつまでも話は尽きなかったが、知らぬ間に皆眠りに就いたようだ。





「……オカダ君……」


 夢の中で僕を呼ぶ声が聞こえる。

 この声は……スケさん!

 スリープモードに入っているのでは?

 そうかコンタクト・ドライブシステムで脳は繋がっているのか。

 ……でも寝る前にナノテク・コンタクトは外してケースに入れたはずだぞ。

 

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