ジョアンナ

「ドリンクバーに行こうよ!」


 マリオットちゃんは、ブリュッケちゃんを連れてコーナーまで行った。


「信じられない! こんなにも多くの種類のジュースが飲み放題だなんて……すごすぎる!」


 ブリュッケちゃんはショックで目まいを起こしそうだった。


「ははは……そんな大げさな」


 その後、テーブルまで運ばれてきたハンバーグには、正直がっかりした。カニとエビと豚鶏ミンチから作ったもので、はっきり言って“つくね”だった。


「我が家では誕生日ぐらいにしか牛肉は出てこないわよ」


 シュレムの言葉に冷や汗が出た。もし焼肉にしていた場合、一体いくら払わねばならなかったのだろう……ゾッとする。


「とっても美味しいですよ」


 それでもブリュッケちゃんは、ホッぺを押さえて満面の笑みを浮かべたのだ。

 食べながら装甲殻類カルキノスのサバクオニヤドカリの情報も得た。北部の無人の街、オーミナガハマ市近くの湖にいくらか生息しているらしい。高さは、おおよそ10mクラス……弱点は、らせん形の自前の殻に隠す柔らかい腹部。比較的大人しいが、繁殖期にかけては狂暴になるので要注意だそうな。


「今が繁殖期じゃないのか?」


「それ以上の事は、あまり父から聞いておりません」


 ブリュッケちゃんは正直に、誇張する事もなく話してくれた。


「まあ、小学生の娘に話をして伝える情報なんて、大した物でもないと思う。


 そうシュレムは言うが……僕は思う。


「それでも、全くないよりはましだろ?」


 マリオットちゃんとブリュッケちゃんは、大きな声でごちそうさまと言ったのだ。

 会計を済ませてファミレスを出ると、何と目の前にスーパー銭湯があるのに気付いた。


「あ~、お風呂発見」


「ちょうどいいわ。入っていきましょう、アディー!」


 シュレムとアディーは、手を取り合って入場するつもりだ。


「シュレムさん? 大浴場付きのホテルに泊まる予定だけど……」


「別に今入ってもいいじゃない。オカダ君は今晩泊まるホテルを探して、チェックインしておいてね」


「……ブリュッケちゃんも入ろうよ!」


 マリオットちゃんの誘いには断れないはずだ。


「ええ!? いや、まあ……」


 結局、シュレムとアディーとマリオットちゃん、それにブリュッケちゃんまでもスーパー銭湯で、ひとっ風呂浴びてくるそうだ。4人の背中を見送った後、とぼとぼとスタリオン高機動車まで戻ってきた。


「スケさんとカクさんは、どこまで行ったのやら」


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